年間読書テーマ、谷崎潤一郎の主要作品を読む。
本日は大正時代の作品『白昼鬼語』を読みました。
初出は1918(大正7)年、東京日日新聞他に連載。
谷崎潤一郎は一時期、ミステリーふうの作品を発表していた時期があり、たしか文庫版で谷崎のミステリーばかり集めた選集があった記憶があります。
この頃海外のミステリーが日本に入ってきた時期(ポー、コナン・ドイル)であり、日本でも江戸川乱歩、横溝正史が現れ、専門雑誌の『新青年』が発刊された時期だそうです。
1918年、谷崎潤一郎は33歳で、明治期の耽美的な作品の次に、大正期モダニズムの作品とされますが、代表作の『痴人の愛』(1924ー25)までは、めぼしい作品がありません。
本作『白昼鬼語』は、偶然殺人の計画を知ってしまった友人から、その殺人現場に誘われた「私」の語りという構成で、ポーの『黄金虫』作中にあった暗号作成の方法がそのまま使われています。結構意外な結末ではあるのですが、作中人物の造形に無理があり、習作の域を出ていません。残念でした。
谷崎の代表作のほとんどが『痴人の愛』以後、関東大震災で被災して関西に移住してから「文豪」の名にふさわしい作品群を生み出します。ミステリーが予想以上に成功していたら、そのまま日本を代表するミステリー作家になっていたかもしれませんが、そうなると『細雪』が読めなくなってしまいますので、大成しなくてよかったです。
