2023年7月31日月曜日

[新聞記事] 留学×私 夢への突破力

 朝日新聞記事より。

<日本人の留学状況>、<カナダの留学情報>、<アメリカの留学情報>の3本。

コロナ禍もあって日本からの留学生は3割減。





2023年7月30日日曜日

[その他] a day in the life 7月29日(土)30日(日)家族で宮島キャンプ

 



毎年恒例の宮島(包が浦)キャンプ。2人の娘一家と当方+配偶者がメンバー(下の娘の婿さんは仕事で不参加)。

初日は包が浦で海水浴、BBQ、花火、スイカ割り、ケビンに宿泊。二日目は弥山鍛錬登山。当方は足を骨折リハビリ中なので登山は不参加。

登山して下山はロープウェイの予定でしたが一番下の孫(3歳)が無理そうだったので登山・下山ともロープウェイを使ったそうです。来年再度挑戦。

皆が元気に一同に集まることの出来るイベントは準備は大変ですが(当方+配偶者が準備)楽しいですね。





2023年7月26日水曜日

[積読立読斜読] 『伊丹十三の台所』(つるとはな編集部編、つるとはな、2023年)

 

 伊丹十三という、人生の水先案内人的な”伯父さん”がいたってことを多くの人に知ってもらえれば、うれしいですね。(中村好文)

 


伊丹十三(1997年没享年64)は1933年生まれ。生誕90年記念として伊丹十三記念館の企画展「伊丹十三の食べたり、呑んだり、作ったり」展が開催中。

この企画は伊丹十三記念館の設計者であり、日本を代表する「イタミスト」である建築家の中村好文さんが担当。本書はその紙上版という位置づけでしょうか。

制作はもと新潮社の編集者で作家でもある松家仁之さん。


伊丹十三記念館は、伊丹十三の多彩な活動を13の展示室に分けて紹介しています。食通で自らも料理の腕をふるったのは「展示(7):料理通」に繋がっています。


展示(1):池内岳彦

展示(2):音楽愛好家

展示(3):商業デザイナー

展示(4):俳優

展示(5):エッセイスト

展示(6):イラストレーター

展示(7):料理通

展示(8):乗り物マニア

展示(9):テレビマン

展示(10):猫好き

展示(11):精神分析啓蒙家

展示(12):CM作家

展示(13):映画監督


かつて丸谷才一は自身の食の随筆『食通知ったかぶり』(文藝春秋、1980年)において、

戦後日本の「食の随筆」の三大名著として、吉田健一『私の食物誌』、檀一雄『檀流クッキング』、

邱永漢『食は広州に在』を挙げました。当方はこれに伊丹十三の料理エッセイを編集して日本四大料理名著とせよ、というのが持論でした。

単独での書籍がないので、長らく残念でしたが、今回伊丹十三の料理エッセイに限っての書籍ということで積年の憤りが晴れました。


食通・料理通は多々あれど映像ではなく活字でその魅力を伝えるというのは素人目に考えても至難の技でしょう。料理の雰囲気を伝えるだけでなく、

読者をして実際にその料理を作ってみようとさせる魅力もさることながら、写真・図解なしで活字を追うだけで本当に料理が完成してしまう達意の文章はさすがです。


出典は『ヨーロッパ退屈日記』、『女たちよ!』、『問い詰められたパパとママの本』、『ぼくの伯父さん』(単行本未掲載作品)から。

残念ながら版権の関係からか『日本世間噺体系』からの「プレーン・オムレツの作り方」が漏れているのが残念。


ちょっと遠いですが、松山の伊丹十三記念館に行ってみたくなりました。



<内容紹介>出版社のサイトより


出版社:つるとはな


食いしんぼうですね、伊丹さん!


映画監督、俳優、エッセイスト、なによりひとりの生活者。

表紙のイエローの洋皿は、伊丹十三が独身時代から愛用し、カレーのCM出演の際も自ら持ち込んで使ったもの。子どもたちが小さな頃は納豆スパゲッティを盛る定番でもあったといいます。

若い頃から好みの器を揃え、吟味した道具を使い、家族はもちろん、来客にも料理の腕をふるっていた伊丹十三。

この本では、食にまつわるエッセイをひもときながら、いかに伊丹さんが食べること、作ることを楽しんだかをお伝えします。そして、伊丹さんに影響を受けたさまざまな方々のお話も。


スパゲッティのおいしい召し上り方――細川亜衣

伊丹さんと台所――中村好文

池内家、父の料理――池内万平

ぼくらの好きな伊丹さん――宮脇誠・吉田昌太郎

伊丹十三の料理本――高橋みどり

風邪のときにつくってくれた

親子丼がほんとうにおいしかった――宮本信子

(登場順、敬称略)


ほか、映画『お葬式』の舞台となった湯河原の台所の全景、愛用の器、道具類も多数紹介。

2023年7月25日火曜日

[その他] 10日と25日は'Punk in'(パン喰い)の日 スターバックス広島大宮店

 パン屋さんじゃないけど。朝食にコーヒーとパンを食べました。

本当は、朝はクロワッサンか普通のペストリーが良いですね。




お店は3月に開店したドライブスルー併設店

[その他] 7月24日(月)カフェ・ダスティ―アーツ読書会

 


2023年7月24日月曜日

[その他] a day in the life 7月24日(日)軽音楽部の練習日 退院祝いに造花をいただきました

 



7月24日(日曜日)はほぼ皆実28期軽音楽部の練習日でした。


退院祝いに皆さんより造花(花瓶つき)をいただきました。感謝です。

2023年7月23日日曜日

[日本語名言紀行] 大地 01 【世の中】いまひとたびの

 

よしや世の中飲だがましだ
下戸の立てたる蔵もない
(良寛和尚)









[一日一禅] 瓦を磨いて鏡となす[かわらをみがいてかがみとなす] 瓦はいくら磨いても、鏡にはならない。 

 




[積読立読斜読] "Talking to My Daughter About the Economy" Yanis Varoufakis (2017)

 



入院中に時間があったので読書会の課題本で、日本語版で読んだ『父が娘に語る美しく深く壮大でとんでもなくわかりやすい経済の話』(ヤニス・バルファキス著、関美和訳、ダイヤモンド社、2019年)を英国版ハードカヴァー(2017年)で再読しました。ブレイディみかこさんをして「キュートな本」と言わしめた装丁の美しい本です。英語は著者のヤニス・バルファキスがギリシャ人で英語が第二外国語になるせいか、プレーンな理解しやすい英語でした。(専門用語は辞書をひく必要があります)。




[積読立読斜読] 『凡事徹底「一日一話』(鍵山秀三郎著、PHP研究所)7月24日~7月31日

7月31日 失敗と成功


誰にも「成功したい」という思いと

「失敗したくない」という思いの両方があります。

はっきりしているのは、行動しなければ、失敗もない代わりに、

成功を手に入れることもないということです。

成功を願うのであれば、まず思いを行動に移さなければなりません。

そのうえで、失敗を恐れないことです。

成功の反対は、何もしないことにほかならないからです。









[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内稔典編) 12



花 に 暮れ て 由 ある 人 に はぐれ けり   



 [積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内稔典編) 12


明治二十九年


131 水 青し 土橋 の 上 に 積 る 雪   


132 花 に 暮れ て 由 ある 人 に はぐれ けり   


133 武蔵野 を 横 に 降る 也冬 の 雨   


134 絶頂 に 敵 の 城 あり 玉霰   


135 一つ家 の ひそか に 雪 に 埋れ けり   


136 天 と 地 の 打ち解け り な 初霞  


137 掃溜 や 錯落 として 梅 の 影   


138 永き 日 や 韋陀 を 講ずる 博士 あり


139 日 は 永し 三十三間堂 長し   


140 永き 日 を 順礼 渡る 瀬田 の 橋   


141 紅梅 に あはれ 琴 ひく 妹 もがな   


142 氷る 戸 を 得 たり や 応 と 明け放し



142 まで 句稿( その 十) に ある 句。 早鐘 ─ 火事 などの 急 を 知らせる 鐘。

2023年7月22日土曜日

[広島掃除に学ぶ会] 7月22日(土曜日)宮島トイレ清掃




 7月22日(土曜日)は広島掃除に学ぶ会の活動で、

年に一度の「世界遺産宮島を美しくする会」に参加しました。

大聖院のトイレをお借りしてトイレ掃除、海洋ゴミ含む街頭清掃を実施しました。

遠くは周南市、三原市からの参加者も含め24名の参加がありました。

初めて親子で参加された方もおられ終了後の体験発表では

「人生が変わる体験」と大感動でした。

宮島では年に1回の開催しかできませんが

地道に継続していきます。

2023年7月16日日曜日

[その他] a day in the life 映画『君たちはどう生きるか』

 7月16日(日曜日)、宮崎駿監督のスタジオ・ジブリ最新作、

『君たちはどう生きるか』を観ました。14:30の回、イオンシネマ広島。

非常に幅広い年齢層で6割埋まってました。


吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』のタイトルと同じで、

吉野源三郎の原著が出てきますが、作品とはまったく関係ありません。

雲、炎、水面、緑地、海、アニメでは描きにくい場面も大変な作画作業でしょうが、

作品自体のテーマが見えてこず、凡作となりました。残念。






<追記>
2024年2月19日(月曜日)
ゆめタウン広島の紀伊國屋書店でパンフレットを入手。
岩波書店『君たちはどう生きるか』大読書会開催。





[その他] 10日と25日は'Punk in'(パン喰い)の日 Misaki Bakery(中区本川町)

 入院中で「10日と25日」のパン屋さん巡り、しばらく休んでました。

本日へ本川町の繁盛店、Misaki Bakeryへ。




2023年7月15日土曜日

[その他] a day in the life ひろしま美術館 堀内誠一 絵の世界

 



7月14日(金曜日)に足の骨折で入院していた整形外科クリニックから退院。

本日は歩行訓練も兼ねてひろしま美術館へ。午前10時頃訪問。

小学校の頃読んだ童話『奇跡くらぶ』の装丁で初めて出会いました。

70年代の雑誌の黄金時代にはマガジンハウスの『ブルータス』『ポパイ』『オリーブ』の雑誌名ロゴ、編集、イラスト等を通じてたっぷりと漬かっていました。

展覧会では幼少期のらくがきから、洋画家としての作品、童話挿絵作家としての作品、等々、享年54の決して長くはないキャリアからは想像できな幅広い作風の作品を観ることができます。








過去に、安西水丸さん、原田治さんの展覧会に行きましたが、
テイストとしては似ているところがあるかと思います。


2019年11月21日木曜日


2021年6月13日日曜日



<追記>
マガジンハウスの最盛期を支えた木滑さんご逝去。
堀内誠一さんを積極採用。




<追記>
2023年8月12日(土曜日)
中国新聞記事





[同窓会] 8月6日(日曜日)広島第一県女原爆犠牲者追悼式のご案内

皆実有朋会主催、参加自由、出欠連絡不要。

参加される方は地味な服装でお願いします。




2023年7月12日水曜日

[Diary]12nd July, 2023

 [Diary]12nd July, 2023



I'm still in hospital.

Everyday,I have physical therapy.

I asked a nurse and a physican that I relly want to leave the hospital and go home as early as possible. 

Later, the doctor told me, after tomorrow's physical therapy,

if my body condition go well, I could leave hospitl, on Friday.


[積読立読斜読] 『柿の種』(寺田寅彦著、岩波文庫、1996年)

 [積読立読斜読] 『柿の種』(寺田寅彦著、岩波文庫、1996年)



理科系の物理学者でありながら漱石門下で随筆の名手として知られている

寺田寅彦の随筆集は岩波文庫版で全五冊の浩瀚な『寺田寅彦随筆集』に

まとめられています。本書は俳句雑誌などに掲載された短い文章を

随筆集とは別に編纂され『柿の種』『橡(とち)の実』として

まとめられた雑文集です。寺田寅彦自身が「書信集か、あるいは

日記の断片のようなもの」とし、読者に「なるべく心の忙(せわ)しくない、

ゆっくりとした余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」

と注文をつけています。ですので入院中に読む文庫本としては適当かと。



以下は当方の読書メモで、他の人が読んでもわかりません。



p10

棄てた一粒の柿の種

生えるも生えぬも

甘いも渋いも

畑の土のよしあし


p26

生来の盲人は眼の用を知らない。

始めから眼がないのだから。

眼明きは眼の用を知らない。

生まれた時から眼をもっているのだから。


p32

「ダンテはいつまでも大詩人として尊敬されるだろう。…だれも読む人が

ないから」と、意地の悪いヴォルテーアが言った。

ゴーホやゴーガンもいつまでも崇拝されるだろう。

…だれにも彼らの絵がわかるはずはないからである。



p75

ルノアルの絵の好きな男がいた。

その男がある女に恋をした。

その女は、他人の眼からは、どうにも美人とは思われないような女であったが、

どこかしら、ルノアルの描くあるタイプの女に似たところはあったそうである。

俳句をやならい人には、到底解することのできない自然界や人間界の美しさが

あるであろうと思うが、このことと、このルノアルの女の話とは少し関係があるように

思われる。


p199

美人と言えば女に限るようである。美醜は男をスペシファイする属性にならぬと見える。

甘い辛いが絵の具の区別に役立たぬように。


p201

睡蓮の花は昔から知っている。しかし、この花が朝開いて午後には睡(ねむ)つということは、

今年自分の家でつくってみて始めて知った。睡蓮という名の所由がやっとわかったのである。

水蓮などという当て字をかく人のあるのを見ると、これは自分だけの迂闊でもないらしい。

人間の世智辛さがこれでわかる、とも言われるであろう。


p225

自分の欠点を相当よく知っている人はあるが、自分のほんとうの美点を知っている人は

めったにないようである。欠点は自覚することによって改善されるが、美点は自覚することによって

そこなわる亡(うしな)われるせいではないかと思われる。


p245

子供の時分に漢籍などを読むとき、よく意味のわかない箇所にしるしをつけておくために

「不審紙(ふしんがみ)」というものを貼り付けて、あとで先生に聞いたり字引きで調べたり

するときの栞とした。


p272

植物が花を咲かせ実を結ぶ時はやがて枯死する時である。それとこれとは少しわけは違うがどこか

似たところもないではない。いつまでも花を咲かせないで適当に貧乏しながら適当に働く。

平凡なようであるが長生きの道はやはりこれ以外にはないようである。



<内容紹介>出版社のサイトから

日常のなかの不思議を研究した物理学者で,随筆の名手としても知られる

寺田寅彦の短文集.大正9年に始まる句誌「渋柿」への連載から病床での

口授筆記までを含む176篇.「なるべく心の忙せわしくない,ゆっくりした

余裕のある時に,一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という著者の

願いがこめられている.(解説=池内 了)



[Study Log] 12nd July, 2023

 


[積読立読斜読] Richard Brautigan "Pacific Radio Fire" 訳してみた その2

2023年7月11日火曜日

↑この文庫本を読んで、同じように課題のテキスト(短編小説)を訳してみました。

タイトルの "Pacific Radio Fire"は日本語に移すのは難しいのですが、「パシフィック・ラジオに火を放つ」としました。藤本和子さんの訳文にあった表現です。



 Richard Brautigan "Pacific Radio Fire" 訳してみました。

今回で終了です。超短編小説ですが、翻訳というのは究極の熟読ですね。

当方の訳はブローティガンの栄光と挫折と自死の最後を知っているだけに、

かなり感傷的になってしまいました。


2019年8月25日日曜日

[惹句どんどん] 藤本和子(翻訳家)


柴田元幸教授と学生の翻訳推敲のやり取りをあらかじめ読んでからの

「後だし」翻訳なので、かなりこなれているとは思います。


<翻訳 6>

 Like some kind of strange vacuum cleaner I tried to console him. I recited the same old litanies that you to people when you try to help their broken hearts, but words can’t help at all.


recited

litanies


変わった形の掃除機を扱うように傷ついた心のともだちに接してみたが、出てくるのはありきたりの慰めのことばで、なんの足しにもならなかった。


藤本和子訳

奇妙な真空掃除機みたいに、わたしは彼を慰めようとした。悲しく傷ついた人をなんとか助けたいと思うときにも誰もが口にするようなきまり文句を並べてはみたものの、でも言葉じゃあ全然どうにもならない。


<翻訳 7>

It’s just the sound of another human voice that makes the only difference. There’s nothing you’re ever going to say that’s going to make anybody happy when they’re feeling shitty about losing somebody that they love.


Shitty:


愛する人を失った人間をふたたびハッピイにするには、百万言をついやすより、単純にまったく別の人間の声なんじゃないかな。


藤本和子訳

人間の声が聞こえてくる、というだけがただひとつの取柄なのだ。愛している者を失ってまいっている人に、なにかいってみたところで慰めにはならない。



<翻訳 8>

Finally he set fire to the radio. He piled some paper around it. He struck a match to the paper. We sat there watching it. I had ever seen anybody set fire to a radio before.


結局おれのともだちは自分のラジオに火をつけてしまった。ラジオの周りに紙屑を積んでマッチで火をつけた。おれたちはその様を座ってみていた。まあ自分のラジオを燃やしてしまう人間にはいままで会ったことはなかったけれどね。


藤本和子訳

やがて、彼はラジオに火をつけた。ラジオのまわりに紙を重ねて、紙にマッチで火をつけた。わたしたちはそれをじっと見つめて座っていた。ラジオに火を放つところを目撃するのは、わたしは初めてだった。


<翻訳 9>

 As the radio gently burned away, the flames began to affect the songs that we were listening to. A record that was #1 on the Top-40 suddenly dropped to #13 inside of itself. A song that was #9 became #27 in the middle of a chorus about loving somebody. The tumbled in popularity like broken birds. Then it was too late for all of them.


ラジオがゆっくりと燃えていくにつれ、おれたちがラジオから聞いていた音楽に、ラジオの炎の影響がではじめた。ビルボード#1ヒットは突然13位まで順位を落とし、#9はサビの「誰かを恋してる」というコーラスのところで27位に落ちてしまった。音楽は傷ついた鳥のように順位を落とした。結局のところ全部手遅れだった。



藤本和子訳

ラジオがゆっくりと燃えると、炎がわたしたちの耳にとどいていた歌たちに作用し始めた。『ベスト40』で一位だったレコードが、その番組でにわかに一三位になってしまった。九位の歌がコーラスの途中で誰かのことを愛しているとかいう二七位の歌になってしまった。傷を負った小鳥たちのように、歌たちは人気の世界で転落するのだった。そしてそのあとは、もう、どの歌にとってもすべてが遅すぎた。

『芝生の復讐』(晶文社、1976年)より

<原文>

Richard Brautigan

Pacific Radio Fire


The largest ocean in the world stars or ends at Monterey, California. It depends on what language you are speaking. My friend’s wife had just left him. She walked right out the door and didn’t even say good-bye. We went and got two fifths of port and headed for the Pacific.

 

It’s an old song that’s been played on all the jukeboxes in America. The song has been around so long that it’s been recorded on the very dust of America and it has settled on everything and changed chairs and cars and toys and lamps and windows into billions of phonographs to play that song back into the ear of our broken heart.


 We sat down on a small corner-like beach surrounded by big granite rocks and the hugeness of the Pacific Ocean with al l its vocabularies.


 We are listening to rock and roll on his transistor radio and somberly  drinking port. We were both in despair. I didn’t know what he was going to do with the rest of his life either.


 I took another sip of port. The Beach Boys were singing a song about California girls on the radio. They liked them. 


 His eyes were wet wounded rugs.


 Like some kind of strange vacuum cleaner I tried to console him. I recited the same old litanies that you to people when you try to help their broken hearts, but words can’t help at all.


 It’s just the sound of another human voice that makes the only difference. There’s nothing you’re ever going to say that’s going to make anybody happy when they’re feeling shitty about losing somebody that they love.


 Finally he set fire to the radio. He piled some paper around it. He struck a match to the paper. We sat there watching it. I had ever seen anybody set fire to a radio before.


 As the radio gently burned away, the flames began to affect the songs that we were listening to. A record that was #1 on the Top-40 suddenly dropped to #13 inside of itself. A song that was #9 became #27 in the middle of a chorus about loving somebody. The tumbled in popularity like broken birds. Then it was too late for all of them.


<追記>

2023年7月12日(水曜日)午前9時

投稿した後、気になって調べてみました。パシフィック・ラジオは隠喩でもなんでもなくアメリカで戦前に製造されていた真空管ラジオのブランドでした。おそらくは親の世代から大切にしてきた木製キャビネットのラジオを(数々の他愛もない、しかし幸福だった時代のラブソングもろとも)、愛する人を失ったことを契機に思い出とともに火を放ったのでしょう。キャビネットが木製なので「火を放つ」という行為に必然性があります。




2023年7月11日火曜日

[積読立読斜読] Richard Brautigan "Pacific Radio Fire" 訳してみた その1

 2023年7月11日火曜日


↑この文庫本を読んで、同じように課題のテキスト(短編小説)を訳してみました。



Richard Brautigan

Pacific Radio Fire


The largest ocean in the world stars or ends at Monterey, California. It depends on what language you are speaking. My friend’s wife had just left him. She walked right out the door and didn’t even say good-bye. We went and got two fifths of port and headed for the Pacific.

 

It’s an old song that’s been played on all the jukeboxes in America. The song has been around so long that it’s been recorded on the very dust of America and it has settled on everything and changed chairs and cars and toys and lamps and windows into billions of phonographs to play that song back into the ear of our broken heart.


 We sat down on a small corner-like beach surrounded by big granite rocks and the hugeness of the Pacific Ocean with al l its vocabularies.


 We are listening to rock and roll on his transistor radio and somberly  drinking port. We were both in despair. I didn’t know what he was going to do with the rest of his life either.


 I took another sip of port. The Beach Boys were singing a song about California girls on the radio. They liked them. 


 His eyes were wet wounded rugs.


 Like some kind of strange vacuum cleaner I tried to console him. I recited the same old litanies that you to people when you try to help their broken hearts, but words can’t help at all.


 It’s just the sound of another human voice that makes the only difference. There’s nothing you’re ever going to say that’s going to make anybody happy when they’re feeling shitty about losing somebody that they love.


 Finally he set fire to the radio. He piled some paper around it. He struck a match to the paper. We sat there watching it. I had ever seen anybody set fire to a radio before.


 As the radio gently burned away, the flames began to affect the songs that we were listening to. A record that was #1 on the Top-40 suddenly dropped to #13 inside of itself. A song that was #9 became #27 in the middle of a chorus about loving somebody. The tumbled in popularity like broken birds. Then it was too late for all of them.



The largest ocean in the world stars or ends at Monterey, California. It depends on what language you are speaking. My friend’s wife had just left him. She walked right out the door and didn’t even say good-bye. We went and got two fifths of port and headed for the Pacific.


two fifths of port:1/5ガロン詰めのポートワイン


カリフォルニアのモントレーは太平洋のはじっこにあり、そこが海の始まりなのか終わりなのかは、そいつの話している言語にもよる。ともだちのワイフがサヨナラも言わないで突然去ってしまったので、おれたちはワインを2本手に入れて海岸に向かった。


藤本和子訳

世界最大の海はカリフォルニアのモントレーに始まる、もしくは、そこで終わる。それはきみの話す言葉によってどちらかに決まるのだ。わたしの友人の女房が彼をおいて出て行ってしまった。わたしたちは1/5ガロン瓶のポルトを二本買ってきて、太平洋に向った。



It’s an old song that’s been played on all the jukeboxes in America. The song has been around so long that it’s been recorded on the very dust of America and it has settled on everything and changed chairs and cars and toys and lamps and windows into billions of phonographs to play that song back into the ear of our broken heart.


その古い歌はかつてアメリカじゅうのジュークボックスから流れていたが、あまりにも長い間だったのでアメリカじゅうのほこりに録音され、ほこりは椅子や自動車やおもちゃやランプや窓や、すべてに降り注いで、傷ついたおれたちのこころにふたたび歌を流す、数えきれないレコード・プレーヤーに変えた。


藤本和子訳

そう、アメリカのありとあらゆるジュークボックスで演奏されてきた、古い歌だ。その歌はもうあまりにも案外ことすたれもせずにいるので、まさにアメリカの塵に録音され、あらゆるものの上にふり積り、椅子や自動車やおもちゃやランプや窓などを無数の蓄音機に変身させてしまった。そして、恋に破れたわたしたちの心の耳にその歌をきかせるのだ。




We sat down on a small corner-like beach surrounded by big granite rocks and the hugeness of the Pacific Ocean with all its vocabularies.


Granite:花崗岩


おれたちは花崗岩と、打ち寄せる広大な太平洋をめぐるすべての言語とに囲まれた、小さなコーナーのような浜辺に座った。


藤本和子訳

大きな花崗岩や、太平洋の巨大さとそのすべての語彙に取り囲まれている小さな隅っこのような浜に、わたしたちは腰を下ろした。



 We are listening to rock and roll on his transistor radio and somberly drinking port. We were both in despair. I didn’t know what he was going to do with the rest of his life either.


Somberly:暗く、陰気に、憂鬱に、

Despair:絶望、失望


おれたちはともだちのラジオから流れるロックンロールを聴きながら、憂鬱にワインを飲み続けた。ふたりとも絶望の淵にあり、ともだちがこれから一人でどうやって暮らしていくのかはわからなかった。


藤本和子訳

彼の持っていたラジオのロックン・ロールに耳を傾け、陰鬱にポルトを吞んでいた。ふたりとも絶望していた。だって、彼がその後の人生をどう送ればよいものやら、わたしにもわからなかったのだ。



I took another sip of port. The Beach Boys were singing a song about California girls on the radio. They liked them. 


 His eyes were wet wounded rugs.


ワインをもう一口飲んだ。ラジオではビーチボーイズが好きな女の子の歌”California Girls”を歌っていたが、ともだちの眼は濡れたラグのように悲しげだった。


藤本和子訳

わたしは、また一口呑んだ。ラジオの「ビーチ・ボーイズ」がカリフォルニアの女たちのことを歌っていた。カリフォルニアの女たちが気に入った、という歌だ。彼の目はびしょぬれの傷ついた雑巾だった。




[積読立読斜読]『翻訳教室』(柴田元幸編集、朝日文庫、2013年)

 [積読立読斜読]『翻訳教室』(柴田元幸編集、朝日文庫、2013年)



本屋さんで増刷がかかったのか目立つ位置にあり購入しました。

東京大学での講義をテキストに起こしたもので、柴田さんの訳した小説に興味があるか、村上春樹さんの翻訳のファンでもなければ価値がわかりません。


学生の翻訳の添削を通じて「翻訳」の奥深さを講義していく内容で、毎回添削した柴田教授は大変な労力なのでしょうが、ご自分の翻訳にもフィードバックされているのでしょう。


自分も学生さんに交じってリチャード・ブローティガンの"Pacific Radio Fire"を訳してみました。2回にわけて投稿します。



<内容紹介>


柴田 元幸  


ISBN:9784022646644

定価:1100円(税込)

発売日:2013年4月5日

A6判並製   416ページ 

東京大学文学部でのエキサイティングな名物講義(2004年10月〜2005年1月「西洋近代語学近代文学演習第1部 翻訳演習」)を完全文字化した紙上実況中継。R・カーヴァー、ヘミングウェイなど9人の作家のテキストをいかに訳すか? 原文テキストのニュアンスや文体を考えながら単語一つ一つを取り上げてはどう訳すべきか、著者は学生と徹底的に話し合い、議論を深め、そして解説していく。著者の翻訳に対する姿勢が随所にのぞき、著者翻訳作品のファンにも必読の一冊。読み進めるほどに、英語、日本語、表現、言葉、小説……と、知的好奇心が限りなく広がっていく。ゲストに英訳家のジェイ・ルービン氏、さらに村上春樹氏が登場した回も完全収録! 《解説・岸本佐知子》。

2023年7月10日月曜日

[惹句どんどん] 寺田寅彦


 

哲学も科学も寒き嚔(くさめ)哉



p302

今、科学も科学者も、そして科学の成果に否応なく巻き込まれざるを得ない私たちも、少し立ち止まって、科学の在りようを見据えるべき時なのではないだろうか。その手始めの作業として、寺田寅彦(1878-1935)の随筆や短章を読み返すのがいちばんだろう。寺田は、科学や科学者を絶対化せず、自らの内部の声として常にそのありようを考えてきた表面の現象のみにとらわれず、深奥に横たわる歴史や精神に立ち戻って発言してきた。そのような視点と考察が、現在を考える上でなお重要だと思うのだ。

岩波文庫『柿の種』解説・池内了より