『永遠の0(ゼロ)』(百田尚樹著、講談社文庫、2009年7月第1刷、2012年12月第32刷)。
紹介するまでもなく大ベストセラーで、映画も大ヒットしました。今月配偶者(@五木寛之)と九州旅行に行く予定で。鹿児島の知覧にも寄るので何か特攻関係の本はないかと手に取りました。
著者は毀誉褒貶の激しい方のようです。先入観なしに読めば第一級のエンタテインメントで十分楽しめました。著者は別に右翼主義者でもなんでもなく、無謀な戦争で亡くなった無辜の兵隊の側に立つ人だと思います。
新たな知見として、アメリカ側にも特攻に似た生存率の低いことが予想される作戦・実戦もあったことです。ミッドウェー海戦で日本空母への最初の攻撃はアメリカの雷撃機でしたが、これは戦闘機の護衛なしで突入してきました。雷撃は成功せず全機未帰還となりました(掩護していた日本側の戦闘機が低空に降りたたため二次攻撃の急降下爆撃が成功しました)。
また1943年のB17によるナチスドイツ爆撃も戦闘機なしの出撃だったそうです(P412)。このドイツ爆撃でのB17搭乗員の戦死者数は5千人超で、一部で美化される旧日本軍の特攻隊の死者4千人を超えているそうです。これが戦争というものなのでしょう。
別の著書ですが、赤坂真理さんの『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書、2014年)に旧帝国日本陸海軍は「命令で自爆攻撃を行わせた、世界で唯一の正規軍なのである」という記述があります。『永遠の0(ゼロ)』で描かれた悲劇はこの一行に集約されると思いました。
P.138
大日本帝国軍は大局的な作戦を立てず、希望的観測に基づき戦略を立て(同盟国のナチス・ドイツが勝つことを前提として、とか)、陸海軍統合作戦本部を持たず、嘘の大本営発表を報道し、国際法の遵守を現場に徹底させず、多くの戦線で戦死者より餓死者と病死を多く出し、命令で自爆攻撃を行わせた、世界で唯一の正規軍なのである。私が問いたいことはこうだ。それは、正規軍と言える質だったのだろうか?
