読書サイト「HONZ」で仲野徹さんが推薦されていたのと、敬愛する内田樹先生の神戸女学院時代の生徒であり、内田先生による推薦文に惹かれて購入してみました。まずはタイトルで技ありでした。
著者の白井青子(せいこ)さんは1984年生まれ。本書の内容は配偶者の仕事の関係で2年間アメリカのウィスコンシン州マディソンで、主に語学学校での生活を描いた「留学記」です。戦後すぐならいざしらず、一般人の海外留学(それも語学学校)の留学記が読むに値するのか、という疑問はもっともでしょうが、「大丈夫マイフレンド」十分面白かったです。
留学の時点で31歳の主婦であり、配偶者の仕事の関係で滞在は2年の期限付き、ビザの関係で就労できないいう、いわば人生のモラトリアム期間。著者は極度の不安症で渡米直前まで帯同をためらっていたところ、内田樹先生から「ブログを書く」という提案を受け、背中を押される形で旅だったようです。
月に一度「ブログを書く」描くことで、自分の行動をある程度客観化できた著者は、語学学校や聴講先の大学の授業を満喫し、数々のトラブル(出産を含む!)を乗り越え、最後には落ち着いてアメリカという国、母国日本、世界各地からの語学留学生を通じての各国事情、を相対化することで、語学の上達以上の知識を身に着け、日本に帰国することになります。
もともと著者の文章力は秀でたものがあったのかも知れませんが、学生時代からの素質を見抜いており、かつ機会が熟した時にそっと助言できる内田先生の識見恐るべしというところです。
著者の長い行く末には幾たびかの困難が待ち受けているかもしれませんが、本書のように自分を客観化できる術を身に着けた以上「我ウィスコンシンで渾身せしものなり」と大見えを切って乗り越えられるものと確信しております。
以下、メモ程度に。
・産油国からの語学学生は国からの援助もあるようだが、政情が変わったせいで打ち切りもあり、倒産する学校もある
・日本からの語学学生は英語圏で一家で一旗上げようというような悲壮な決意のものはいない
・また自分の将来の目標もあいまい(他国の留学生に比べて)
・日本のインフラの安定度(水道料金、治安、医療保険、失業保険)を改めて実感
・著者は映画への造詣が深く(ソ連の映画とかマニアック)大学での映画授業を聴講する
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