2021年6月5日土曜日

[積読立読斜読] 『名句の所以(ゆえん)』(小澤實著、毎日新聞出版、2018年) 夏の部 (4)



     蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな

 

芥川龍之介


 

虹自身時間はありと思いけり

 

阿部青鞋(せいあい)

 














蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな 芥川龍之介

老人が被つて麦稈(むぎわら)帽子かな 今井杏太郎

魚籠(びく)のなかしづかになりぬ月見草 今井聖

眼球の分け入つていく雲の峰 九牛なみ

祖母山も傾山の夕立(ゆだち)かな 山口青邨(せいそん)

虹自身時間はありと思いけり 阿部青鞋(せいあい)

天牛(かみきり)の髭の先まで斑(ふ)を持てり 伊藤伊那男

大雪渓踏み跡一路汚れなし 岡田日郎

鉄斎の老い黒き滝赤き滝 竹中宏

未来より滝を吹き割る風来る 夏石番矢