2021年6月8日火曜日

[積読立読斜読] 『名句の所以(ゆえん)』(小澤實著、毎日新聞出版、2018年) 夏の部 (5)



月涼し脳を出て入る健忘神(わすれがみ) 林翔

 

さんずゐは点点点の涼しさよ


※健忘神(わすれがみ)は作者の造語















 絶壁に眉つけて飲む清水かな 松根東洋城

日光月光すずしさの杖いつぽん 黒田杏子

汗臭き鈍(のろ)の男の群に伍す 竹下しづの女

汗の人ギューッと眼つぶりけり 京極杞陽

蝋燭の焔の瑠璃や夏の暮 山西雅子

月涼し脳を出て入る健忘神(わすれがみ) 林翔

さんずゐは点点点の涼しさよ

墓石に映つてゐるのは夏蜜柑 岸本尚毅

壜に入れて麦湯冷やすや水の中 星野麦人

妻は開きおのれは丸のどぜう鍋 吉村昭

押し返すわれも邪険や鉾を見る 松尾静子