2021年10月24日日曜日

[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(11)





「妻をうしなへる人に」の前書き


いてどけのなほとけかねてゐるところ



 芝のころ(その一)(昭和九年六月―十七年) Ⅱ


102 唐紙のあけたて寒に入りにけり


103 まゆ玉にいよいよ雪ときまりけり


104 門松に夕凍(ゆふじみ)いたりそめしかな


105 いてどけのなほとけかねてゐるところ


106 春の雪しきりにふりて誰もゐず


107 春水のみちにあふれてゐるところ


108 ぬかるみをよけてあるくや紅椿


109 しら梅かあらずしらたまつばき汝(なれ)


110 四月馬鹿ものおもふことにつみありや


111 くたびれて来てたゝみたる春日傘


112 一つづゝ春の灯ともり来りけり


凍解(いてどけ):冬のあいだ凍っていた地面が、春になって解けてゆるむこと《季語・春》