「妻をうしなへる人に」の前書き
いてどけのなほとけかねてゐるところ
芝のころ(その一)(昭和九年六月―十七年) Ⅱ
102 唐紙のあけたて寒に入りにけり
103 まゆ玉にいよいよ雪ときまりけり
104 門松に夕凍(ゆふじみ)いたりそめしかな
105 いてどけのなほとけかねてゐるところ
106 春の雪しきりにふりて誰もゐず
107 春水のみちにあふれてゐるところ
108 ぬかるみをよけてあるくや紅椿
109 しら梅かあらずしらたまつばき汝(なれ)
110 四月馬鹿ものおもふことにつみありや
111 くたびれて来てたゝみたる春日傘
112 一つづゝ春の灯ともり来りけり
凍解(いてどけ):冬のあいだ凍っていた地面が、春になって解けてゆるむこと《季語・春》
