2021年10月23日土曜日

[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(10)

 




前書きに「昭和十年十一月十六日、妻死去」とあります。
最初の妻、京が服毒自殺した際の葬儀で詠まれたもの。
このとき久保田万太郎は45歳。


来る花も来る花も菊のみぞれつゝ



 芝のころ(その一)(昭和九年六月―十七年)


91 買つて来しものに夜寒のさくらもち


92 瀬の音をきゝつゝ貼りし障子かな


93 夕時雨野の枯いろの濃かりけり


94 来る花も来る花も菊のみぞれつゝ


95 ふッつりと切つたる縁や石蕗(つは)の花


96 二七日(ふたなぬか)すぐ三七日(みなのか)の青木の實


97 掃くすべのなき落葉掃きゐたりけり


98 短日や鏡のなかの山の膚


99 短日の耳に瀬の音のこりけり


100 久方の空いろの毛絲編んでをり


101 一月や日のよくあたる家ばかり