2021年10月27日水曜日

[積読立読斜読]『シャトレーゼは、なぜ「おいしくて安い」のか』(齊藤實著、CCCメディアハウス、2021年)

 



『シャトレーゼは、なぜ「おいしくて安い」のか』(齊藤實著、CCCメディアハウス、2021年)


パン業界に勤めていて、関連する洋菓子の業界の企業にも興味は持っていました。シャトレーゼの名前を初めて聞いたのは2000年頃、東京勤務の時でした。話題にはなっていましたがまだ山梨のローカル企業であり、お値打ち価格の商品構成であり、ブランド志向の会社ではなかったため、ちょっと下に見る傾向がありました。当時当方が勤めていた二代目社長からもかなり見下した発言を聞いたことがあります。


一時隆盛を極めた全国チェーンの洋菓子店はいつのまにか退場し、お値打ち価格洋菓子全国展開チェーンは、気が付いてみればシャトレーゼ1社のみになりました。


現在国内600店舗、海外110店舗、2019年からは「YATSUDOKI」という高価格帯の新業態も始動されています。経営不振に陥った東京の亀屋万年堂、九州のさかえ屋も傘下に加え、なぜかワイナリー事業、ゴルフ事業、リゾート事業まで展開されています。


創業者に、あまりメディアでの露出の興味がなかったのか、おそらくまとまった書籍としてははじめてだろうと思います。


創業は広島地区で言う「二重焼き」の売店から。夏場商品のテコ入れでアイス工場を作ったものの売上不振で、苦肉の策でシュークリーム工場に転換、それば爆発的に売れ今日の基礎を造り、主力工場の消失や、肉親の急逝を乗り越えるなど、創業者社長として波乱万丈の人生です。が、自身のお写真にはギラギラしたところが無く、かなりの人格者と想像されます。


社是が近江商人の「三方よし」(『売り手によし、買い手によし、世間によし』)に似ています。



驚くべきは近年の売上高の増加傾向で、10年で倍増されています。FC展開なので店舗数は増やしやすいとは思いますが、それも店舗での売り上げがついてきていればこそ。




徹底的に良い原材料や、製法にこだわれるのも中間コストを配した仕入れ・生産・工場直売体制なればこそでしょう。


ユニクロに代表されるアパレルのSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)を洋菓子製造販売に転用と見えますが、最初から戦略的に狙ったわけではなく、顧客志向を地道に追求していったら自然にそうなった感じです。


FC展開も特徴的でロイヤリティーを採らず、「のれん分け」に近い感じです。


バブル期には「高くておいしい」が当たり前でしたが、低成長日本では「安くておいしい」が主流になったのかも知れません。うがった見方ですが少し寂しいです。


シャトレーゼの洋菓子は到来物でしか食べたことがないので、近々お店で買って食べてみます。



<内容紹介>出版社のサイトより

山梨県に本社があるお菓子メーカー、シャトレーゼ。

多くの同業が不振にあえぐ中、国内600店舗以上、海外110店舗を展開し、10期連続売上増!

コロナ禍で巣ごもり需要が高まったこともあり、その人気には拍車がかかる。テレビや新聞等の取材も絶えることがない。

そんなシャトレーゼの人気の秘密は、素材の安全・確かさと、おいしさ。そして安さ。種類の豊富さ。


「広告は出さない」「ほかがやらないことにチャレンジ」「新規参入は厳しいところから」をモットーに、快進撃を続けるシャトレーゼ会長がはじめて語った、勝ち続ける秘訣とこれからの戦略。


<目次>

目次

第1章 発想の原点

 困ったときこそ知恵が出る

 工場直売店という発想

 出店戦略の独自性


第2章 おいしさへのこだわり――素材が決め手の商品戦略

 ファームファクトリー構想

 契約農家との取引がもたらすもの

 商品力を支える「素材力」と独自製法

 

第3章 ブランド認知とファンベースの拡大

 どこまでもお客様目線でありたい

 ブランド認知力を上げる戦略的広報活動

 口コミが2年で8倍になったSNS施策

 

第4章 新業態「YATSUDOKI」と海外事業の展開 

 「YATSUDOKI」で都市部へ進出

 シャトレーゼの海外戦略

 

第5章 家業的企業経営の真髄 

 家業的企業経営を進める

 グループ企業のプラットフォーム


<はじめに>

はじめに

 僕がお菓子の道に入ったのは1954(昭和29)年、いまから67年前のことです。弱冠20歳でした。

 山梨県勝沼町(現・甲州市)で生まれ育ち、日本一のぶどう生産者を目指すはずだった僕がなぜこの道を選んだのかは、あとでお話しさせていただきますが、ずっと心がけてきたのは、「お客様の目線で考える」こと。そして、「他人ができないと思うことにあえて挑戦する」姿勢です。

 お客様が「いいお店だな」と思ってくだされば、また足を運んでいただける。ご自分の身近な方に紹介してくださる。そうやって、口コミでお店のファンになってくださる方が増えていけば、自然に繁盛すると思っています。

 ですから、テレビコマーシャルや新聞広告などの宣伝はやりません。宣伝にかける経費があるなら、その分、お客様に還元したいと思っています。

 もちろん、企業ですから利益は必要ですが、「儲かる」という字を分解すると、信者でしょう? シャトレーゼというお店を気に入ってくださり、ある意味信者といえるほどの熱烈なファンになっていただけたら、儲けようと思わなくても儲かります。そして、そのための努力を惜しまないように、社員一丸となって走り続けてきました。


著者略歴

齊藤 寛(さいとう・ひろし)

株式会社シャトレーゼホールディングス、株式会社シャトレーゼ 代表取締役会長

1934年、山梨県生まれ。1954年、20歳のときに焼き菓子店「甘太郎」を創業。5年後、有限会社甘太郎を設立し、代表取締役に就任。1964年に大和アイスを設立しアイスクリーム業界に参入。1967年、10円シュークリームを発売。同年、2社を統合し、株式会社シャトレーゼに社名変更。2008年、代表取締役会長に就任。2010年、シャトレーゼをはじめ、ワイナリー事業、リゾート事業、ゴルフ事業などを統括して株式会社シャトレーゼホールディングスに商号変更し、代表取締役社長に就任。新設分割会社、株式会社シャトレーゼを設立。2018年から代表取締役会長。株式会社シャトレーゼの代表取締役会長も兼任。


http://books.cccmh.co.jp/list/detail/2327/

出版社のサイトより



[追記]2021年10月30日(土曜日)




安佐南区西原にあるシャトレーゼに行ってきました。進物を買う必要があったので。
他にショートケーキ等を買いました。和菓子もありました。高級品ではないのですが手ごろな値段の洋菓子屋さんです。大繁盛でした。


[追記]
2022年2月20日(日曜日)
朝日新聞に記事が載りました。