2021年10月28日木曜日

[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(13)






新聞の來ること遅し女郎花

 

いへばただそれだけのこと柳散る



「女郎花(おみなえし)」は当方の周辺で「彼岸花(曼殊沙華)」と混同している人が多く、「赤」のイメージですが、黄色が正解です。「箱根仙石温泉荘クラブハウスに一泊」の前書きの句。「いへばただそれだけのこと」の句の諦観が潔いです。






 123 犬遠く吠えて切子のしづかなり


124 送火をたきてもどるや膳のまへ


125 あさがほをみにしのゝめの人通り


126 秋の蚊帳まだあかるきにつられけり


127 新聞の來ること遅し女郎花


128 死ぬものも生きのこるものも秋の風


129 子煩悩なりしかずかず野菊咲く


130 駆け出して來て子のころぶ秋の暮


131 秋しぐれ塀をぬらしてやみにけり


132 いへばただそれだけのこと柳散る