草の丈 日暮里のころ(大正十二年十一月ー昭和九年)Ⅱ
41 いたづらに大沓脱(おおくつぬぎ)や秋の暮れ
42 木がくれになりし遠さや盆の月
43 かまくらをいまうちこむや秋の蝉
44 新涼の身にそふ灯影(ほかげ)ありにけり
45 朝顔にまつりの注連(しめ)の残りけり
46 糠雨のいつまでふるや秋の蝉
47 鶏頭に秋の日のいろきまりけり
48 寒の雨芝生のなかにたまりけり
49 青ぞらのいつみえそめし梅見かな
いたづらに:徒に、意味もなく
大沓脱:踏み石
木隠れ(こがくれ):[枕]木の茂みの暗い意
かまくらを:鎌打ちの神事か?
みえそむ:見初、見え始める、見えだす


