2021年12月30日木曜日

[積読立読斜読] 『百戦錬磨の台所 vol.2』(中村好文著、学芸出版社、2021年)


おそらく自宅を建てることはもうありませんが、住宅建築家の中村好文さんのファンです。


『百戦錬磨の台所 vol.2』(中村好文著、学芸出版社、2021年)は中村さんが実際に設計した住宅の特に「台所」に焦点を当てた写真集。好評につき第二集刊行。


写真満載の豪華な造りで価格も「本体2,700円+税」と結構高い本です。しかし本書が出来上がるまでには膨大な労力と時間がかかっています。


①中村好文さんが実際に設計した家の台所を紹介している


②その家には現在の人が生活している


③クライアントと設計者の仲は竣工後も続いている


④クライアントは惜しげもなく取材に協力している



①~④までが揃うには、よほど設計者とクライアントの良好な関係がないと成立しません。また実際の作品を文章に出来るとなると、本書の成立自体が奇跡的と思えます。


写真と実際の設計図付きで、自宅を造る予定のない人が観ても、いつまでの楽しめる本になっています。


著名人の台所は財力次第というところもあり、当方の現実とは遠いところにありますが、一番、感心したのは一般の人にもより現実的な「Asano Family House」と名づけられた三世代住宅。敷地が広大なので三階建てを想像しますが、中央に両親の住居と広大な、皆が集まって食事ができるキッチンと食堂と、両端に2人の息子家族の家を配置し、3つを縁側で繋ぐという生活者目線の設計になっています。












VOL.2ではこの浅野家のキッチンを含んで6つの台所が紹介されており、中村好文さんの建築と深い関係のある木工工房の社長兼・職人との対話が含まれています。


本書の構成は、キッチンの紹介だけでなく、実際にそのキッチンで造られた食事を囲んでの会話部分も含まれており、クライアントと建築家の幸福な関係を垣間見ることが出来ます。