をりからの雪にうけたる破魔矢かな
まゆ玉のことしの運をしだれける
「まゆ玉」は養蚕地帯で盛んだった風習で東日本に多い。広島ではみかけません。
流寓抄 その一
332 沖かけて波一つなき二日かな
333 をりからの雪にうけたる破魔矢かな
334 まゆ玉のことしの運をしだれける
335 鶺鴒や四五日海に波の絶え
336 凍つる日野にはかにあきし扉なりけり
337 人情のほろびしおでん煮えにけり
338 わが胸にすむ人ひとり冬の梅
繭玉(まゆだま)
繭の豊収を祈って作られる作り物の一種。柳やミズキなどの枝に繭の形にした蛭やだんごを多数つけたもので,メーダマ,繭蛭,繭だんごともいう。東北から関東,中部など東日本の養蚕地帯で盛んに作られた。普通は小正月に作るが,初午(はつうま)に再度作る所もある。繭玉のほか,養蚕道具をかたどった蛭をつけたり,近年ではだんごや蛭の代りにせんべいで作った繭玉をつける所もあり,また正月に縁起物として繭玉を飾る商店もみられる。繭玉は,明治の養蚕奨励で普及したが,木綿が有力な作物であった地方などでは繭玉以前に木綿玉(もめんだま),綿だんごなどと称するものが作られていた。これは柳の枝などに綿の花や実の形のだんごをつけたものであった。明治以後は繭玉にとって代わられ,繭玉が蛭花の総称となっている所も多い。繭玉は茶の間,かまど,神棚など屋内の各所に飾られるが,16~20日ころに下ろして食べる。これを養蚕仕事になぞらえて,繭玉かきとか繭玉練りという所もある。(飯島 吉晴)
(C) 1998-2002 Hitachi Systems & Services, Ltd. All rights reserved.