2021年12月7日火曜日

[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(27)

岩波文庫版の久保田万太郎俳句集。

900句以上あるので約10句づつ紹介中。



昭和二十年、万太郎は空襲により焼け出されます。
静謐な句で逆に悲壮さを強く感じます。


うちてしやまむうちてしやまむ心凍つ

花曇かるく一ぜん食べにけり


みじか夜の劫火の末にあけにけり


芍薬のはなびらおつるもろさかな



草の丈

芝のころ(その二)(昭和十七年三月―二十年十月)Ⅲ


264 寒燈にすぎゆく”時”の足音(あのと)とや


夜半、人定まれば

265 凍てにけり障子の桟の一つづゝ


266 うちてしやまむうちてしやまむ心凍つ


267 日脚のぶ去りゆく日々にかゝはらず


大仁

268 目のまへの山の雪はも土筆つむ


269 落椿足のふみどのなかりけり



草の丈

芝のころ(その二)(昭和十七年三月―二十年十月)Ⅳ


三月十日の空襲の夜、この世を去りたるおあいさんのありし日のおもかげをしのぶ

270 花曇かるく一ぜん食べにけり


五月二十四日早暁、空襲、わが家焼亡

271 みじか夜の劫火の末にあけにけり


中野の立退先にて

272 芍薬のはなびらおつるもろさかな