2021年12月14日火曜日

[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(32)



300 うち晴れし淋しさみずや獺祭忌


301 ひややかに日を漉す木々となりにけり


302 名月や電話のベルのなりつづけ


303 櫻落葉櫻のふとき幹ならび


304 小春冨士夕かたまけて遠きかな


305 草の尖(さき)さはる小春の障子かな


306 玄関に写楽をかけて冬構へ


307 幾何は好き代数はいや浮寝鳥


308 葡萄酒のこの濃きいろや夜半の冬


309 障子あけて飛石みゆる三つほど


310 墓原に雪こそつもれ年の暮


311 この猪口のいと小ささよ寒の入


312 空風の中から泣いて来し子かな




獺祭忌:正岡子規の命日、9月19日


浮寝鳥:越冬のため秋から冬にかけて日本に渡り鳥。冬季は水面で眠る習性がある