2020年1月16日木曜日

[積読立読斜読] 『短編画廊』(ローレンス・ブロック編、ハーパーコリンズ・ジャパン、2019年)



このアンソロジーの成立は少し変わっていて、アメリカの探偵小説家、ローレンス・ブロック(1938年生まれ)の呼びかけによって寄せられた新作短編集です。その短編はローレンス・ブロックが選んだエドワード・ホッパーの絵画から創造された短編です。確かにエドワード・ホッパーの絵は何か物語を内包しているような気味悪さがあります。

ブロック氏が依頼した作家は、S・キング、ジョイス・キャロル・オーツのような大物から新進作家まで多士済々です。

本日はジョイス・キャロル・オーツが書いた「午前11時に会いましょう」を読みました。いくぶん倦怠期を迎えた男と情婦の関係をスリリングに描いて少し気味悪かったです。物語を読んで、その元ネタとなったホッパーの絵を改めてみると、確かにこの物語以外はあり得ないなと得心しました。


Edward Hopper - Eleven A.M., 1926 
at Hirshhorn Art Museum Washington DC


P353
男が欲しいもの。それはほかの男に欲しがられる女だ。ただし、自分から気を惹いたりせず、注目されていることにさえ気づかない女なのだろう。脱色してブロンドになろうとは思わない。このブルネットの美しさは自慢なのだ。自然で、素朴な感じがする。自分を偽り、つくり、飾りたてるところがまったくない。次の誕生日には、四十になる。自分で自分を殺すかもしれない。




<著者紹介>
ジョイス・キャロル・オーツ Joyce Carol Oates (1938年生まれ)

現代アメリカを代表する女性作家。数多くの長編小説と短編集を出版している。アメリカ芸術文学アカデミーの会員であり、ブラム・ストーカー賞、全米図書賞、O・ヘンリー賞、全米人文科学勲章などを受賞している。(本書より)。