2020年1月17日金曜日
[積読立読斜読] 『教育格差』(松岡亮二著、ちくま新書、2019)第6章のまとめ
第6章 凡庸な教育格差社会―国際比較で浮かび上がる日本の特徴
教育における「生まれ」の影響を完全に除去した社会(国家)は存在しない。実質的な身分のくびきから人々を開放した社会では存在しない。人類は未だ生を受けたすべての人達の潜在的な可能性を具現化するような社会を作り上げることができていない。
国によって「生まれ」による教育格差には、公平性の度合いに差がある。日本は他国と比べて高くもなく低くもない平均的(凡庸な?)教育格差社会である。
<第6章のまとめ>
①データが取得されたすべての社会(国家)において、SESによる学力・学歴達成格差がある。
②親子の学歴の関連の度合い(親が大卒なら子供の大卒)は、日本は国際平均とあまり変わらない。
③どの社会も大卒は高収入になる傾向にあり、学歴によって処遇が異なる学歴社会といえる。
④日本の生徒の学力と問題解決能力は平均的に卓越している。高学力・能力の生徒の割合も高い。ただし、これは教育実践・政策・制度だけに起因するわけではなく、社会のありとあらゆる要素の総和としての結果である。
⑤各国内で低SESの生徒が高学力になる割合は低い。すなわち、「生まれ」による学力格差はどの社会においても存在し、日本の割合は国際平均と同水準である。
⑥日本ではSES下位16%で学力上位16%(偏差値60以上)となる割合は6%と低い。(学年人口約120万人なので実数は1.2万人前後)。
⑦大学進学期待の割合は国によって大きく違うが、高SESの生徒が進学期待を持つ傾向はどの社会でも変わらない。これは学力を調整しても同様である。ただ、制度によってSESと進学期待の関連の程度は異なる。
⑧日本は高校受験によるトラッキングで政策的に学校間のSES格差を国際平均にまで押し上げている。結果的に、学校SESと生徒学力の関連が最も強い社会の一つになっている。
⑨高校受験から間もない時期である日本の高校1年生は、学校の授業以外でまったく勉強しない割合が高い。全科目において、57の国・地域の中で勉強しない割合ランキングの1位である。生徒SESだけではなく学校SESも学習しないことと関連している。
⑩校長観察による「教師は学業成績を重視している」の割合が日本は国際的に突出して低い。教師が学業成績を重視していない高校は低ランク・低SES校に集中している。
