2020年1月2日木曜日

[積読立読斜読] 『教育格差』(松岡亮二著、ちくま新書、2019)第3章のまとめ


第3章 小学校 ― 不十分な格差縮小機能

初等教育の公立学校(小学校)はすべての人々に社会的上昇が可能な機会を提供する制度(初期条件の平等化装置)として期待されているが、公立であっても教育「環境」が同じではない。

未就学段階で「生まれ(出身家庭・出身地域)」で様々な格差がある。

公立初等教育機関の小学校には、平等化装置として格差をゼロにするほどの力はない。

社会経済的地位の構成要素は資本の3形態(経済資本、文化資本、社会関係資本)に基づいている。

文化資本は3つの形態がある。書籍・美術品などの物財を示す「客体化された文化資本」、学歴・資格などの制度によって承認された「制度化された文化資本」、言語力・知識・教養など、簡単に相続できない「身体化された文化資本」がある。


<第3章のまとめ>

①毎年の世帯収入は子供が大きくなるにつれて拡大傾向にある。義務教育の終わりまでの総額には大きな格差がある。

②目には見えづらい文化資本格差がある。家庭の蔵書数と親子の読書量、それに文化活動に差がある。

③入学時点の学力が、小4時の学力と関連している。また、小4~中1まで格差は縮小・拡大されずに維持されている。

④小4・小6で親子の大学進学期待に格差がある―親学歴によって異なる教育段階をゴールにしている。

⑤両親大卒層は多種多様な習い事を早い時期から始め、小4を境に塾の利用・学習時間の増大に焦点を移している。多様な経験を積ませながらも現行の学歴獲得競争で有利になるよう子供の年齢によって教育戦略を変えている。これは日本版「意図的な養育」と解釈できる。

⑥両親大卒層の「意図的な教育」によう日常生活の構造化は、メディア消費時間増大の抑制、親の学校関与格差にも見られる。

⑦ここまで記してきた項目について地域や学校の間に格差が存在する。学校間SES(=社会経済的地位)格差があるので、似た「生まれ」や同じぐらいの学力の同級生と出会うのは偶然ではない。

⑧公立であっても将来大学に進学する前提で勉強している児童が多数派の学校が存在する。両親大卒割合によって、大学進学を明確に意識している児童が在籍する割合は学校間で大きく異なる。

⑨両親大卒割合によって、習い事・通塾の有無、学習とメディア消費に使う時間、それに親の学校関与が学校間で異なる。