2020年1月4日土曜日
[積読立読斜読] 『教育格差』(松岡亮二著、ちくま新書、2019)第4章のまとめ
第4章 中学校 ― 「選抜」前夜の教育格差
学校制度の期待される二つの機能
(1)子供たちが社会に適応できるように社会化する機能…個々の「能力」を一定基準以上にする機能
(2)人々を「能力」によって格付け「適切」な進路に振り分けること…学校制度は「選抜装置」として働く
「〇〇の子」のような「生まれ」ではなく、「能力」によって選抜(sorting)し、「相応しい人」がより高い教育を経て高い社会的地位(の職業)につく―「能力」(メリット merit)によって社会的地位が決まる社会をメリトクラシー(能力主義による支配体制)という。この「能力」(メリット)の定義は社会的に構成されるのでいつの時代も問い直されるし、変わりうる。
「意図的養育」を行う大卒の親は、この「能力」の定義を理解し、子育て戦略を変容させている。
<第4章のまとめ>
①親大卒者数(0、1、2のいずれか)による学力格差がある。小6から中3までの学力格差は、大きくは縮小も拡大もしない。
②親大卒者数によって大学進学期待格差がある。中1から中3まで、学力と同じように平均値は上がるが格差そのものはあまり変わらない。
③高校受験が近づくと、公立中学校生徒の通塾率は上がり学習時間数も増加するが、その幅が親大卒者数によって違い、結果的に格差は拡大する。
④「選抜」直前であっても学習努力量が異なる。小中9年間の学習時間総量から、「生まれ」によって「15の春」(高校受験)の段階で全く異なる「練習」蓄積量があることがわかる。一方、受験学年になっても両親非大卒層はメディア消費時間が長い。
⑤小学校時と比べると、学校に関与する親は減少する。中でも両親非大卒層はあまり授業参観しなくなる。
⑥私立中学校進学者の割合は、三大都市圏の両親大卒層で高い。特に東京都区部は地域内部で階層格差が大きい。
⑦公立であっても中学校間でSES(社会経済的地位、socioeconomic status)格差が存在する。
⑧私立に高学力層が集まっているが、公立学校間にもSESと関連する学力格差はある。これは各学校で「ふつう」の学力が異なることを意味する。
⑨両親大卒割合によって大学進学期待を持つ生徒の割合は大きく異なる。これは学校SESによって各学校に違う規範が存在することを示唆する。
⑩中学3年時は通塾率が最も高い時期で「みんな」が行っているように思えたとしても、その割合は地域・学校SESによって格差がある。
⑪学習量とメディア消費量、それに親の学校関与の度合いも学校間で「ふつう
」が異なる。
