2019年8月14日水曜日

[新聞記事] 昭和の人生すごろく



ちょっと古い資料ですが、この「昭和の人生すごろく」は経済産業省の若手官僚が2017年5月に発表しネット上で公開されたレポート「不安な個人、立ちすくむ国家 モデルなき時代をどう前向きに生き抜くか」内にあった図表です。

「昭和の人生」=国家・個人のモデル、という前提で、男性:正社員になり定年まで勤めあげる(退職金・年金が充分にある)、女性:結婚・出産して離婚しない、というモデルが崩れかけている。結果個人は「不安」であり、国家は対処に困っている、という見立てのようでした。

問題は1950年代生まれと、1980年代生まれの男女100名の統計上、たしかに女性は未婚・未出産の人が大幅に増加した一方で、正社員で円満定年の男性は、34人が27人になりはしましたが、前提となる昭和のモデル自体が全体の34%しかなかったのは統計をとった若手官僚も意外だったようです。

このレポートについては産経新聞の記事がよくまとまっていました。

https://www.sankei.com/premium/news/170630/prm1706300006-n1.html
「昭和の人生すごろく」にしがみつくな!?
若手エリート官僚の報告書「立ちすくむ国家」ネットで炎上
2017年6月30日付、産経ニュース

このレポートには多くの指摘がありましたが、

・問題提起はしたが解決に向けての提案がない
・レポートの前提となる正社員・円満定年の比率が
34%しかなく訴求力が弱い
・作成者が正社員側にあり弱者の視点がまったくない

という瑕疵があり、無料のレポートはもの珍しさからか100万を超えるダウンロードがありましたが、書籍化されたものは散々な部数だったようです。

現在読書中の『日本社会のしくみ』(小熊英二著)にも、このレポートが引用されていました。小熊さんは著者に先立って、スタジオ・ジブリのPR雑誌『熱風』(2017年11月号)(アニメの会社なのに相当硬派)でレポートをまとめた若手官僚と座談会を持っています。座談会でも若手官僚の見立ての甘さを指摘されていました。

『熱風』(2017年11月号)
【座談会】経産省 次官・若手プロジェクト『不安な個人、立ちすくむ国家』をめぐって
出席者]上野千鶴子(社会学者)/小熊英二(社会学者)/雨宮処凛(作家)/須賀千鶴・植木貴之・今村啓太(経産省プロジェクトメンバー)


『日本社会のしくみ』を読んでいくうえで、はずせないレポートなのと、官僚が日本社会をどう把握しているのか理解するために掲載しておきます。