2021年8月22日日曜日

[積読立読斜読] 『短編回廊』より「真実は井戸よりいでて人類を恥じ入らせる」(トマス・プラック)

 




スローリーディング中のアンソロジー『短編回廊』、本日はホラー風の短編でした。

元ネタの絵画は、フランスの画家、ジャン=レオン・ジェローム(1824-1904)の1896年の作品。

1896年、寓意画『人類に恥を知らせるため井戸から出てくる〈真実〉(英語版)』を制作(デモクリトスが言ったとされる「真実は井戸の底に横たわっている」という言葉に基づくもの)。イリュージョンの透明性を記述する試みであり、事実ジェロームは、自身の写真的な絵画に取って代わるものとして写真の興隆を歓迎していた。1902年には「写真のおかげで〈真実〉はついに井戸の外に姿を表した」と述べている。

Wikipediaより

著者はニュージャージー出身の短編小説作家。日本での滞在歴もあるそうです。原題は"Truth comes out of her well to shame mankind"です。


もとネタの絵画からして謎めいているのですが、発掘現場での調査員の学生時代の意趣返しをホラー風に仕立てた作品。登場人物がセリフで説明口調でしゃべりすぎで構成に工夫がほしかったのと、女性のセリフなのか男性のセリフなのかが訳文では判然とせず、読みにくい作品でした。絵画作品は裸体の女性のみ写真的なテクニックで描かれています。写真が一般的になって影響を受けた作品だそうです。


追加の情報です。

現在読んでいる選集は第二作で、アメリカでは第三作まで出版されています。第一作がエドワード・ホッパーのみ、本作は古今東西の画家・彫刻家、第三作はアメリカの画家の作品が対象です。

2016年の"In Sunlight or in Shadow: stories inspired by the paintings of Edward Hopper"、2017年の"Alive in shape and color: 17 paintings by great artists and the stories they inspired"に続いて、2019年に第三作の"From sea to stormy sea: 17 stories inspired by great American paintings"が出版されています。