2021年8月22日日曜日

[積読立読斜読] 『文人たちの句境―漱石・龍之介から万太郎まで』(関森勝夫著、中公新書、1991年)常住座臥 冬の句(3)




旧刊ですが、文人の俳句の選集です。俳人と違って着眼点に差があるように思え面白いです。作家別ではなくて句題別の編集になっています。第一章は身辺雑句「常住坐臥」。今回で終了です。暖房器具が少なくて昔の日本家屋は寒かったのでしょう。芥川の句は辞世の際、主治医に託したものだそうです。出世作となった「鼻」を意識したものと思われます。


 自嘲

水洟(みずはな)や鼻の先だけ暮れ残る 芥川龍之介
















 自嘲

水洟(みずはな)や鼻の先だけ暮れ残る 芥川龍之介


火を掻いて鉛筆焦す火鉢哉 室生犀星


灯も置かで炬燵に物を思ふ夜や 會津八一


この榾(ほだ)の燃え尽きるまで読むとせん 佐藤紅緑


掛乞(かけごい)や空家の多い士族町 内田百閒


魚城移るにや寒月の波さざら 久米三汀


疾く鎖(とざ)す橋番小屋や寒の雨 會津八一