2021年8月12日木曜日

[積読立読斜読] 『この世界の片隅に(下)』最終回 しあはせの手紙(昭和21年1月)

 


最終回 しあはせの手紙(昭和21年1月)


<すずさんの出来事>

すずと周作、広島駅でひとりの戦争孤児と出会い、呉へ連れて帰る。


周作の広島での再就職が決まり、すずさんと周作さんは広島で待ち合わせ。広島駅で戦災孤児と会い、呉に連れて帰ることに。話の筋と関係のないモノローグが「不幸の手紙」として導入されています。


いま此れを讀んだ貴方は死にます


なのに其れをしあはせだと微笑まれ乍ら


皆が云ふのだからさうなのかも知れない


或ひは單にヒト事だからかも知れないな


貴方などこの世界のほんの切れっ端にすぎないのだから


 



見い 九つの嶺に守られとろう ほいで九嶺(くれ)いうんで

うしろは海 右のんは休山 左のんは鉢巻山 その向こうが広島よ

ほいでまん中のが灰ヶ峰 あのすそのがわしらの家じゃ


この世界の片隅で平凡に死ぬことが「しあわせ」だというメッセージであり、呉に帰った時の周作さんの語りは、民を守ってくれなかった軍への痛烈な批判ととれます。

戦災孤児の亡くなった母親も右腕を失っており、あり得たかもしれないすずさんの広島での姿を想像させます。歴史的想像力とはあり得たかもしれない自分を歴史の中に置き想像してみることだと思いました。



長らくスローリーディングしてまいりました漫画原作『この世界の片隅に』は今回で読了です。劇場版の二作を含め戦時下の普通の民の生活を丹念に描いた第一級の歴史書です。