2021年8月30日月曜日

[積読立読斜読] 『文人たちの句境―漱石・龍之介から万太郎まで』(関森勝夫著、中公新書、1991年)Ⅱ 温故知新(2)

スローリーディング中の文人俳句集『文人たちの句境』、本日は古典に題材を採った「温故知新」句より。もとの古典を知っていないと俳句の深さがわかりません。勉強になります。




 かなぶんゝ仮名書魯文徹夜かな 久米三汀


物や思ふと人の間ふまで夏痩せぬ 夏目漱石


涼しさやすべて良医の匙加減 會津八一


秋きぬとさやかに鳴るや弦の音 尾崎紅葉


干瓢や賤(しず)の苧環(おだまき)剥き返し 泉鏡花


べい打つや悪(にく)まれる子世に蔓りて 室生犀星

(「べい」の漢字は環境依存で表示できない)


このごろステッキをもちふ。かならずしも出来ごころにあらず

秋風やころばぬさきの杖を突き 久保田万太郎


総領の甚六と申す鳴子引 寺田寅彦


喪を秘して軍を返すや星月夜 夏目漱石


芋の祖(おや)神武天皇の頃とかよ 會津八一