8月は太平洋戦争関連の書籍が多数出版される月です。戦艦大和に限ってもこれまで数えきれない数の書籍が出てます。本書は類書とは一線を画し徹底的に「コスト」から戦艦大和の生涯と、現在まで続く大和の経済的効果を考察したユニークな本です。
・建造費は国家予算の4%
・新規に大量の工作機械を輸入
・曳航する引き船、主砲を運搬する特別輸送船を建造
・下関海峡を通すため海底を浚渫
作るまでも大変ですが、維持費も馬鹿にならず。人件費・燃料費・補修費等々。
燃料をケチってなかなか海戦への出番がなく、アメリカ軍も戦略的価値のない戦艦を攻撃せず、終戦間際は死に場所を求めて沖縄特攻となりました。
終戦までは銭くい虫の大和ですが、日本人のハード好きが幸いしてか、映画・小説・アニメ等のソフト面の経済効果や、造船技術を転用した民生産業への技術転用で高度成長を支えたことまで勘案すると、将来的には元が取れるのではと勘繰ります。
いずれにせよ、敗戦国のさして活躍しなかった軍艦の博物館まで公費で作ってしまう国民性は結構変わっています。
以下、出版社のサイトより。
[著者略歴]
青山誠(あおやま・まこと)
大阪芸術大学卒業。著書に『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社)、『戦術の日本史』(宝島社)、『金栗四三と田畑政治』(中経の文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)などがある。雑誌『Shi-Ba』で「日本地犬紀行」、web「さんたつ」で「街の歌が聴こえる」を連載中。
[内容]
世界一の威容を誇った戦艦大和。これまで大和はありとあらゆる評論・創作物で取り上げられてきた。悲劇的な最期を綴ったものもあれば、開発秘話や性能を紹介するもの、そして大和が大活躍する架空戦記など枚挙にいとまがない。
しかし、これまでに表立って論じられてこなかった側面がある。それがコスト――金銭面から大和を解剖することだ。
大和の建造費は国家予算の実に4パーセントが費やされたとされる。しかし、「主砲弾一発の価格はいくらなのか?」「停泊時に消費される石油の価格はいくらなのか?」「乗組員たちの人件費は?」「建造時の秘密保持のための費用は?」「建造費の粉飾はどのようになされたか?」といったことはほとんど語られていない。
戦艦大和が兵器であった以上、コストと成果は切り離して考えることができない問題だ。そしてコスト面から読み解くことで、大和のまったく新しい姿が見えてくるはずである。
※本書は2019年8月に小社より刊行された同名書籍の再編集版です。
[目次]
第一章 世界最強の戦艦建造をめざした貧乏国のフトコロ事情
第二章 『大和』には建造費以外にも莫大な予算が費やされた
第三章 戦艦『大和』の衣食住 巨大戦艦の家計簿
第四章 戦艦『大和』 全戦闘の収支決算報告
