2020年2月3日月曜日

[積読立読斜読] 『短編画廊』(ローレンス・ブロック編、ハーパーコリンズ・ジャパン、2019年)より ウォーレン・ムーア



エドワード・ホッパーの絵から生まれた短編集。本日はウォーレン・ムーアさんの「「夜のオフィスで」を読みました。

原題は"Office at night"、ホッパーの絵の題名は同じく"Office at night, 1940"です。


作者のウォーレン・ムーアさんの経歴が少し変わっていて、雑誌記者・音楽評論家・(売れない)バンドのドラマーなどを経て現在はカレッジの教授をされています。

マーガレットは、テネシー州グリーンズバーグの高校出身の田舎娘で、身長が6フィート近い、田舎では規格外のグラマーな女性に育ってしまいました。貞操な妻、優しい母になる自信がなく、田舎を出てニューヨークで働く決心をしますが両親は猛反対。

P300
しかし、母は、街に逃げたいなんて言い出すような子は、娼婦になるかイタリア人と結婚するかのどちらかだ、と決めつけた。

紆余曲折あり小さな不動産弁護士事務所の秘書の職を得る。ホッパーの絵のような状況ですが、作者はありきたりにこの絵の中の雇い主と田舎娘の関係として作品に落とさず、娘を頓死させます。

ホッパーの絵の中の彼女は幽霊になった彼女で、優しくしてくれた上司(書類の散らばりようから後釜の秘書の仕事が雑なようです)の事務所になつかしくて出没します。

この短編を読んでから改めて絵を見ると、顔が妙に青ざめているのがわかります。


P318
彼女は、何が待ち受けているのかも知らずにこの街にやってきた。それでもこの街は、彼女のことを受け入れてくれて、ほんの短いあいだだったけれど、この街の一部になれたような気にさせてくれた。グリーンズバーグにいたら絶対になれなかった自分になれた―彼女はペギー・デュポンになることができた。

なかなか成仏できない彼女です。

女性が何の偏見もなしに大都会で働き、男女の隔てがなくなるまでには、何万人ものマーガレットのような女性が必要だったのですが、それは別の話。



About Warren Moore III
Born in Nashville and raised in the burbs of Nashville and Cincinnati, Warren Moore is Professor of English at Newberry College in Newberry, SC. Along the way, he has been a journalist, tire salesman, stand-up comic, advertising copywriter, magazine editor, and drummer in a variety of unsuccessful bands. He finished tied for 105th in the 1979 National Spelling Bee.

Moore holds a Ph.D. in English from Ball State University, with a specialty in medieval literature, and has taught courses covering topics from the Seven Deadly Sins to film noir. BROKEN GLASS WALTZES, his first novel, was published in 2013, and he has published short stories in print and online venues since then. He also plays drums in a 60s-style garage band, and lives in Newberry with his wife and daughter.

https://www.amazon.com/Warren-Moore-III/e/B00C33U8IQ?ref_=dbs_p_ebk