2020年2月10日月曜日

[積読立読斜読] 山口慎太郎『「家族の幸せ」の経済学』(光文社新書、2019年)

一章ずつまとめながらスローリーディング中です。



第2章 赤ちゃんの経済学(まとめ)

家族に幸せをもたらしてくれる「赤ちゃん」について、経済学の視点から3つの考察。

(1)出生体重とその後の人生との関り
赤ちゃんの出生体重は、その後の人生と大きく関わっている
出生体重が重いと、大人になってからも健康であることが多いだけでなく、知能 指数(IQ)も所得も高くなる傾向がある

(2)帝王切開と赤ちゃんの健康との関連

(3)母乳育児
赤ちゃんの健康に好ましい影響があると広く信じられている
科学的根拠はあるのか?



(1)出生体重とその後の人生との関り
日本は世界で2位の低出生体重児の多い国
世界中のほとんどの国で生まれてくる赤ちゃんの体重が減っている
妊娠中に母親が仕事をしていると低体重児になる可能性が増す
(出産1年前にフルタイムで働いていた場合、43グラム軽くなり、低出生体重児となる可能性が2.4%ポイント上がる)
かつては生きられなかった赤ちゃんを救える時代になり平均の体重が下がったこともある
不妊治療技術が発達して高齢出産が増えたため、出生体重が下がった
かつての産科医の「体重指導」(小さく産んで大きく育てる)が影響している(他の国では行われていない)

低体重で生まれると中年期以降に糖尿病や心臓病を発症しやすくなる
幼少期の問題行動が多く、学力面で問題を抱え、成人後も所得が低くなりがち
(イギリス、バーカー教授、胎児期起源説)


(2)帝王切開と赤ちゃんの健康との関連
日本では帝王切開が増え続けている
必要以上に帝王切開が行われている疑いがある
アメリカでは少子化による収入減のため産科医が報酬の高い帝王切開を選ぶというレポートがある

患者側の都合もある
出産が楽だという誤解
出産予定が立てやすい

帝王切開で生まれ得てくる子供は、肺や呼吸器の機能に問題を抱えたり、面積発達に問題が生じ、アレルギーや喘息になりやすい
注意欠陥・多動性障害や自閉症との関係はない


(3)母乳育児
母乳で育った子供は比較的経済的に豊かな家庭で育ったため、発達面で優れていることが多い
母乳育児・粉ミルク育児の直接の影響かどうかは分からない

母乳育児(ベラルーシで行われた調査)
感染性胃腸炎とアトピー性湿疹にかかる割合は減る
気道感染症(発熱・せき・たん)は効果が見られなかった
乳幼児突然死症候群の発症率は低下した

肥満・アレルギー・喘息防止効果は確認できなかった(6歳児までの追跡調査)
知能・行動面に対する長期的な効果は確認できなかった

母乳育児は生後1年間の子供の健康面に好ましい影響があるが、一部で喧伝されているメリットは、必ずしも科学的根拠があるわけではない

粉ミルクの普及は1960年代までの価格の低下もあり、女性の就業増加に貢献した

充実した育児休業制度は母乳育児の助けになる(母乳育児は手間がかかる)
ただし母乳育児を行うかどうかは母親個人の選択が尊重されるべき(著者の主張)