2024年4月20日土曜日

[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治二十九年 206-215




 206 うき人の顔そむけたる蚊遣かな


207 短夜の芭蕉は伸びて仕まひけり


208 仏壇に尻を向けたる団扇かな


209 黒船の瀬戸に入りけり雲の峰


210 吹井戸やぼこりぼこりと真桑瓜


211 ゑいやつと蝿叩きけり書生部屋


212 異人住む赤い煉瓦や棕櫚の花


213 独居(ひとりい)の帰ればむつと鳴く蚊哉


214 据風呂の中はしたないや柿の花


215 橘や通るは近衛大納言


203から214まで句稿(その一五)にある句。

据風呂:風呂桶の下にかまどをとりつけた風呂。

215から221まで句稿(その一六)にある句。