206 うき人の顔そむけたる蚊遣かな
207 短夜の芭蕉は伸びて仕まひけり
208 仏壇に尻を向けたる団扇かな
209 黒船の瀬戸に入りけり雲の峰
210 吹井戸やぼこりぼこりと真桑瓜
211 ゑいやつと蝿叩きけり書生部屋
212 異人住む赤い煉瓦や棕櫚の花
213 独居(ひとりい)の帰ればむつと鳴く蚊哉
214 据風呂の中はしたないや柿の花
215 橘や通るは近衛大納言
203から214まで句稿(その一五)にある句。
据風呂:風呂桶の下にかまどをとりつけた風呂。
215から221まで句稿(その一六)にある句。
