2020年3月22日日曜日

[あの頃のレコード] 大瀧詠一『Happy Ending』(2020年)



唯一定期購読している雑誌『レコード・コレクターズ』(2020年4月号)がデビュー50周年記念の大瀧詠一『Happy Endig』の特集。

レコード盤を入手しましたので投稿します。発売は3フォーマット(初回限定2CD、通常版1CD,12インチ・アナログ限定盤)。

毎年音源をとっかえひっかえ新譜(?)が出ている大瀧詠一さんです。ご本人は残念ながら2013年にお亡くなりになりました(享年65)。

伝説のロック・バンド「はっぴいえんど」の両巨頭、細野晴臣さんは一足早く昨年音楽活動生活50周年を迎え、2019年にベスト・アルバムが2種(星野源、小山田圭吾選曲)が発売されています。

細野晴臣さんのベスト盤(星野源選曲)は、本ブログでも投稿してますのでご参考まで。
(本投稿末尾にリンクがあります)。

『Happy Ending』は90年代半以降、主にフジテレビのテレビ・ドラマ用に書き下ろされた楽曲を中心に構成されています。主な3曲の紹介をします。


「幸せな結末 (Album Ver)」(多幸福・作詞、大瀧詠一・作曲、井上鑑・編曲)
1997年のテレビ・ドラマ「ラブ・ジェネレーション」の主題歌としてチャート2位のヒットを記録した曲。オリジナルからリズム・トラックを消しストリングスとヴォーカルを前面に出したミックスになっています。

音楽的なベースはフィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」を踏襲したものだそうです。


「恋するふたり」(多幸福・作詞、大瀧詠一・作曲、井上鑑・編曲)
2003年のテレビ・ドラマ「東京ラブ・ジェネレーション」の主題歌。チャート7位。
キャロル・キングなどの優秀な作曲家を擁したアメリカの音楽出版社「アルドン・ミュージック」系の楽曲に着想を得ているそうで、大瀧詠一さんの重要なルーツの一つだそうです。1981年に松田聖子さんに提供した「風立ちぬ」の姉妹作品(春版)というイメージだそうです。


「Happy Endで始めよう (バカラック Ver.)」
(多幸福・作詞、大瀧詠一・作曲、Rinky O'hen・編曲)
97年の「幸せな結末」のカップリング曲。オリジナルのヴァージョンとは歌詞が違い「口ずさむバカラック」というフレーズが入っていることから「バカラック・バージョン」とされています。50年代のR&Bシンガー、Lloyd Priceの" Where Were You On Our Wedding Day"が元ネタの曲だそうです。さらにフィル・スペクターのレーベルからデビューしたザ・クリスタルズの"Da Doo Ron Ron"、イギリスのThe Dave Clark Five"Over and Over"などのテイストをまぶした典型的なナイアガラ・サウンドに仕上がっています。

作詞の「多幸福」はプロデューサー・亀山千広、ドラマ監督・永山耕三と大瀧詠一のユニットの名前だそです。


<テレビ・ドラマへの楽曲提供経緯>
細野晴臣さんが今でも現役の演奏家でありコンスタントに自分名義のオリジナル・アルバムを発表し続けているのに比べて、大瀧詠一さんは1984年の『EACH TIME』以降、現在までオリジナルのアルバム発表はありませんでした。

84年以降は、ソロ・シングル、他のシンガーへの楽曲提供、プロデュースをはじめ音楽以外にも興味を広げた活動をされてました。

後にフジテレビの社長を務めるプロデューサーの亀山千広(1956年生まれ)さんが大瀧詠一の大ファンで80年代から継続してドラマへの楽曲提供をオファーしていたそうです。完全主義者の大瀧詠一の作曲が遅々として進まず1996年の「ロングバケーション」には間に合わず大瀧のアルバム名のみ拝借した経緯があります。


<大瀧詠一のアナログ主義、伝統主義>
90年代は小室哲哉の「小室ファミリー」が時代を席巻しており、電子楽器を主とした「打ち込み」による楽曲が主流となっていました。大瀧詠一さんはこのような流れとは終始距離を置き、あくまで人間が演奏する楽器による編成という方針を崩しませんでした。

また過去の楽曲から着想を得て編成する姿勢には「パクリ」との批判もありましたが、どちらの楽曲が後世に残るかは歴史の審判を仰ぐしかありません。

音楽を経年的に聴く姿勢(または作曲する姿勢)は、大瀧詠一さんを師匠と仰ぐ思想家の内田樹さんが近著で支持すると述べています。


「僕たちは音楽を経年的に聴いてきた。50年代、60年代、70年代と、それぞれの時代のヒットソングが耳から入って来て、それが記憶の中に蓄積していった。だから、ある曲を聴くと、それを浴びるように聴いていた時のことがありありと思い出せる。でも、90年代半ばぐらいからあとの若い人たちは音楽をラジオやテレビからじゃなくて、YouTubeで聴くようになった。個人的な趣味で選曲するので、時代も、地域も、ジャンルも関係ない。(中略)それが同時的に入ってくる。そこから影響を受けて、自分の音楽を作ると、これまで見たことも聞いたこともないような音楽が出てくる。」(米津玄師への言及)

「系譜があって、伝統とか形式に縛られて、それと格闘しながら、新しいものを想像するというのがいいんじゃないかな。もちろん、まったく伝統とも流行とも関係なしに、個人的に好きな音楽をあちこちからコラージュしてきて新しい音楽を作っても、それはかまわないんだけれど、両方あってもいいと思うんですよね。」

P166『しょぼい生活革命』(晶文社、2020年)より


私も古い人間なので大瀧詠一さんの姿勢に共感します。


<アナログ限定盤データ>
『Happy Ending』アナログ完全生産限定盤
発売日 2020年3月21日(土)
価格:3500円(税別)3850円(税込)
品番:SRJL-1140

収録内容:
SIDE A
01. Niagara Dreaming
02. 幸せな結末 (Album Ver.)
03. ナイアガラ慕情
04. 恋するふたり (Album Ver.)
05. イスタンブール・マンボ
06. Happy Endで始めよう (バカラック Ver.)

SIDE B
01. ガラスの入江
02. Dream Boy
03. ダンスが終わる前に
04. So Long
05. Happy Ending


<細野晴臣さんベスト盤投稿へのリンク>
(アナログ盤は3枚組で6面あり、1面ずつの投稿になってます)

A面
2019年11月2日土曜日
[あの頃のレコード] 『HOSONO HARUOMI compiled by HOSHINO GEN』(2019年)

B面
2019年11月4日月曜日
[あの頃のレコード] 『HOSONO HARUOMI compiled by HOSHINO GEN』(2019年)

C面
2019年11月9日土曜日
[あの頃のレコード] 『HOSONO HARUOMI compiled by HOSHINO GEN』(2019年)

D面
2019年11月12日火曜日
[あの頃のレコード] 『HOSONO HARUOMI compiled by HOSHINO GEN』(2019年)

E面
2019年11月15日金曜日
[あの頃のレコード] 『HOSONO HARUOMI compiled by HOSHINO GEN』(2019年)E面(YMO、ソロ)

F面
2019年11月21日木曜日
[あの頃のレコード] 『HOSONO HARUOMI compiled by HOSHINO GEN』(2019年)