2020年3月24日火曜日

[惹句どんどん] 柴田元幸(翻訳家・東京大学文学部教授)


我々はつねに、少年にいま見えている世界を、いずれ彼に見えるであろう世界から成る二重写しの世界を見ている


少年小説にあっては(そして少女小説にあっておおむね同様に)、「我々はつねに、少年にいま見えている世界を、いずれ彼に見えるであろう世界から成る二重写しの世界を見ている」のであり、その二つの世界のあいだの緊張から独特のユーモアと切実さが生じる。

『昨日のように遠い日 少女少年小説選』(柴田元幸・編、文芸春秋社、2009年)より