2021年11月16日火曜日

[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(19)

 「ハルピン、キタイスカヤ、イベリアといへるロシア料理店にて」の前書きがある二句が飄々として気に入りました。


ゆく春や鼻の大きなロシア人

 

パンにバタたつぷりつけて春惜む









芝のころ(その二)(昭和十七年三月―二十年十月)


184 あしはらの中ながるゝや春の水


185 淺芽生(あさぢふ)の一トもどざくら咲きにけり


186 ゆく春や鼻の大きなロシア人


187 パンにバタたつぷりつけて春惜む


188 楡芽ぶき薄暑の雲のはやうかび


189 この街のたそがれながき薄暑かな


190 水を打つみちの夕日のいま眞面(まとも)


191 舟蟲の疊をはしる野分かな


192 十五夜の草くるぼしを没しけり


193 名月のたかだかふけてしまひけり