「ハルピン、キタイスカヤ、イベリアといへるロシア料理店にて」の前書きがある二句が飄々として気に入りました。
ゆく春や鼻の大きなロシア人
パンにバタたつぷりつけて春惜む
芝のころ(その二)(昭和十七年三月―二十年十月)
184 あしはらの中ながるゝや春の水
185 淺芽生(あさぢふ)の一トもどざくら咲きにけり
186 ゆく春や鼻の大きなロシア人
187 パンにバタたつぷりつけて春惜む
188 楡芽ぶき薄暑の雲のはやうかび
189 この街のたそがれながき薄暑かな
190 水を打つみちの夕日のいま眞面(まとも)
191 舟蟲の疊をはしる野分かな
192 十五夜の草くるぼしを没しけり
193 名月のたかだかふけてしまひけり
