2026年10月3日土曜日

[積読立読斜読] 『英語で日本語を考える』(片岡義男著、ちくま文庫、2024年)

 p143

「この静かな街の住民はいま恐怖におののき、

かたずをのんでなりゆきを見守っています」


Fear now runs rampant in this quiet town 

and no one knows what to expect next.


p144

次にはいったいどんなことが起こるのかをじっと待つ、という状態をexpectの一語で表現することもできる。



p145

「私は欲張りではありませんよ」

「欲張りではないというのは、どの程度までのことですか」


I'm nott greedy.

How greedy aren't you?


p145

相手が言ったひとことを、くるっとひっくり返して質問形式にし、そのまま相手に返すというものの言いかたは、英語の世界にしばしばある。相手の言葉をそのまま反転させるにはどうしたらいいか、ということの勉強として僕は、この例を選んでみた。


p146

「早く終わりにしたいものだ」

I look forward to having it behnd me.


p146

終わりにしたい問題と自分との関係を、英語の場合は時間および位置の関係の変化としてとらえる、というような言いかたをここで僕は試みる。


p147

「そうではないほうがいいですねえ」

I don't think I'd like to do it that way.


p148

そうではないほうが望ましい、という言いかたよりも、私はそうしたいとは思わない、という言いかたのほうが、はるかに英語らしい。


p149

「私はドアを開いてなかに入り、ドアを閉じた」

I opened the door, went in, and closed it after me.


このような簡単なことを言いあらわすとき、日本語と英語の構造の違いが、誰の目にも明らかになる。



日本語の動詞の時制はなぜこうも整合されないのか、などと言っても始まらない。