シリーズ累計が100万部突破という『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ著)の続編。前作と同じく著者と息子さんの日常を通じて、英国の社会問題を生活者の目線で考察すると同時に、息子さんに寄り添い、共に成長する親子の物語としても読める重層的なドキュメンタリー。隣家の長女が読み終わったので借りて読みました。
ブレイディみかこさんの筆の冴えは相変わらずで、結構深刻な問題でも、かすかな希望に繋げる筆致に根元的な優しさを感じます。
<内容紹介>
いろいろあって当たり前。ライフってそんなもんでしょ。
13歳になった「ぼく」の日常は、今日も騒がしい。フリーランスで働くための「ビジネス」の授業。摂食障害やドラッグについて発表する国語のテスト。男性でも女性でもない「ノンバイナリー」の教員たち。自分の歌声で人種の垣根を超えた“ソウル・クイーン”。母ちゃんの国で出会った太陽みたいな笑顔。そして大好きなじいちゃんからの手紙。心を動かされる出来事を経験するたび、「ぼく」は大人への階段をひとつひとつ昇っていく。そして、親離れの季節が――。
息子さんはイギリスの公立中学に通っていますが、同じ島国でも日本では例の少ない、宗教的な対立、人種的な対立、移民問題、経済格差問題、ジェンダー問題、大人でさえ解決できな問題に、日々遭遇する少年少女たち。多様性で鍛えられて考える大人に皆なれるのか、不安です。
著者のブレイディみかこさん自体が破格の人生のようで、福岡の労働者階級の家に生まれ、パンクロックにあこがれてイギリスに移住し、アイルランド出身のご主人と出会い、ご主人が証券会社を馘首されトラック運転手になり、という背景です。
本書でおそらく初めて披露されましたが、福岡の実母が長い間深刻なうつ病を抱えており、息子さんと帰省時の接し方に気を気配りされていたようですが、老年となり病状も緩和された期に初めて孫との交流が出来たエピソードが記されていました。息子さんの真直ぐな優しいん感受性は、ブレイディみかこさんの息子さんへの愛情を持った寄り添いかたから来るもなのでしょうが、感動しました。
いつかはこの息子さんも親離れし、このシリーズも終わってしまうのでしょうが、惜しい気持ちもあり、息子さんの成人を祝いたい気持ちもあり、まあまだ少し先のことです。
[読書メモ]
ブレイディみかこさんがメモしたという息子の中学校のスピーチ作成方法。
P142
スピーチの書き方
5Sのメソッド(順番)
Situation - 聞き手が想像できるようなシーンを設定して議論を始める
Strongest - 演説の最も重要な主張を提示する
Story - 個人の経験談を用いて自分の主張を裏付ける
Shut down - 反論を封じ込める
Solution - 処方箋を提案する
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』より
<著者プロフィール>新潮社のサイトより
ブレイディみかこブレイディ・ミカコ
ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。1996年から英国ブライトン在住。2017年、『子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で新潮ドキュメント賞を受賞。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞、Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞などを受賞。他に、『ワイルドサイドをほっつき歩け――ハマータウンのおっさんたち』(筑摩書房)、『THIS IS JAPAN―英国保育士が見た日本―』(新潮文庫)、『女たちのテロル』(岩波書店)、『女たちのポリティクス――台頭する世界の女性政治家たち』(幻冬舎新書)、『他者の靴を履く――アナーキック・エンパシーのすすめ』(文藝春秋)など著書多数。
