[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十二年 406—415
406 かしこしや未来を霜の笹結び
407 二世(にせ)かけて結ぶちぎりや雪の笹
408 短くて毛布つぎ足す蒲団かな
409 泊り合す旅商人の寒がるよ
410 寐まらんとすれど衾(ふすま)の薄くして
411 頭巾着たる猟師に逢ひぬ谷深み
412 はたと逢ふ夜興引(よこひき)ならん岩の角
413 谷深み杉を流すや冬の川
414 冬木流す人は猿(ましら)の如くなり
415 帽頭や思ひがけなき岩の雪
398~407まで羅漢寺での句。
406 「参詣路の入口にて道端の笹の葉を結びて登るが例なり。
極楽の縁を結ぶためなりとかや。これを笹結びという」と前書。
407も笹結びの句。
二世―現世と来世
408 「口の林という処に宿りて」と前書。410まえ同所の作。
411 「耶馬渓にて」と前書。425まで同所の作。
よこ‐ひき【夜興引】
〘 名詞 〙 ( 「よごひき」とも ) 冬の夜、山中で猟をすること。また、その人。よこうひき。よこ。《 季語・冬 》
