2022年4月2日土曜日

[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(55)

 




み返ればすなはちやさし春の月



流寓抄 八


527からは欧州への旅行。中東の地と俳句は相性が悪いようで歯切れが悪い。


「よろこびもかなしみも…」の前書きのある526は出発前の日本の句と思われます。


526 み返ればすなはちやさし春の月


527 鳥曇よしなきことにかゝづらひ


528 壁にいま夜の魔ひそめるやもりかな


529 みじか夜やおもひおもひの椅子の向き


530 空港につづく広野の麥の秋


531 星涼しユダヤかたぎのはなし好き


532 短夜やこの坂の下地中海


533 聖蹟の丘たゝなはる五月かな


534 聖蹟すなはち廃虚雲の峰


535 死海(デット・シー)みゆるとのみや雲の峰