[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(48)
めッきりと蠅もへり日もつまりけり
皿は皿小鉢は小鉢年の暮
年寒しうつる空よりうつす水
「近況を問はれたるにこたふ。」の444と年の暮れを詠んだ445、「ことし、おのれ、還暦とよ」の前書きの447が印象に残りました。万太郎の随筆「還暦反逆」には「薄暮たま/\海岸橋をすぎ、しづかに海に入る滑川の冷めたい水のひかりをみたときできたのである」とあります。
流寓抄 その五
442 丹精の菊みよと垣つくろはず
443 茶の花におのれ生まれし日なりけり
444 めッきりと蠅もへり日もつまりけり
445 皿は皿小鉢は小鉢年の暮
その六
446 老木の根、元日きよく掃かれたる
447 年寒しうつる空よりうつす水
448 枯蔓にすがるすべさへなかりしか