2022年1月16日日曜日

[惹句どんどん] イギリス王立科学協会

 




Milk in first = MIF


三島由紀夫の新潮文庫版『葉隠入門』を読んでましたら、イギリス人の紅茶のミルクを入れる習慣についての記述があり、ネットで調べたら大変な論争の上、結末が出たそうです。


九 世間知 (聞書第1 117)(一部略)

われわれは生き、生を享楽する側面では小さな事柄にも常に理論を持ち、判断を働かせ、決断をくだしていきあなければならない。もしそれをゆるがせにすれば、生活の体系は崩れ、大思想さえ侵されてしあむことがある。イギリス人はお茶を飲むときに、「ミルク・ファースト」か「ティー・ファースト」か聞いてまわる。一つの茶わんの中にミルクを先に入れても、お茶を先に入れても同じようであるが、その小さな事柄の中に、イギリス人の生活の理念が確固としてあるのである。あるイギリス人にとっては、自分は紅茶茶わんに先にミルクを入れて、あとからお茶を入れるべきであるにもかかわらず、もし人が先に紅茶を入れて、あとからミルクを入れれば、自分のもっとも重大な思想を侵される第一歩と考えるにちがいない。

常朝が言っている「小事の思案は重くすべし。」というのは、アリの穴から堤防が崩れるように、日常坐臥(ざが)の小さな理論、小さな思想を重んじたことと考えられる。それが現代のようにイデオロギーのみが重んじられて、日常生活の瑣末のしきたりが軽んじられている、倒錯した時代に対するよい教訓なのである。

新潮文庫版『葉隠入門』(三島由紀夫)p47より


‘Milk in First’: a miffy question.

MAY 11, 2017 MARKMANELLISLEAVE A COMMENT

The question of when to add milk to tea is a delicate one in British tea customs. Do you add the ‘milk in first’, pouring the tea on top of it, or do you pour the tea in first and add it later. There’s lots of debate: here yes, here no, and here, no idea. In general, the question of milk is one of the more intractable in the history of tea drinking in Britain. We’ve blogged about this before: our conclusion was that whether to add milk to tea is historically and geographically located. And so is when to add milk.


https://qmhistoryoftea.wordpress.com/2017/05/11/milk-in-first-a-miffy-question/


カップに先にミルクを入れ後から紅茶を入れるミルクインファースト派(MIF=milk in first)と、先に紅茶を入れ後からミルクを注ぐミルクインアフター派(MIA=milk in after)です。 ミルクインファースト派の主張は、先に入れるとよく混ざり香りが立つ、カップに茶渋(ちゃしぶ)がつきにくい、紅茶を先に入れると、熱いのでカップにひびが入ることがあるなどで、アフター派の主張は、ミルクティーにしたい人だけが後で加えてミルクティーにできる、後から注ぐ方が量を加減できて便利などです。

そんなものどっちでも好きな方でいいじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、この論争なんとイギリスでは130年間に亘り続いていた論争なのです。 さすがは、紅茶の国とよばれるだけはありますね、そのこだわりも半端ではないようです。 ところが、この長きに亘って続いたこの論争に、イギリスで最も権威のある王立化学協会が2003年に決着を付けたのです。 それは、「ミルクが先=MIF」の方がタンパク質の熱変性が少なく、さらっとしたおいしさになるということを化学的に立証して発表しました。 これで、論争にも終止符がうたれるかと思いましたが、その後も反論や新説が発表されるなどして、今でも論争は続いているようです。

https://www.british-made.jp/stories/gourmet/2014082800216