3月28日にお亡くなりになった坂本龍一さんの最後のアルバムです。
生前の坂本龍一さんのアルバムは単独では聴いたことがありませんでした。長い闘病生活の合間に日記風に綴られた「音」。環境音楽と呼ぶのでしょうか。
アナログ・レコードで再発されたので購入してみました。
アルバムのジャケットは美術家、李禹煥(リ・ウファン)の新作ドローイング。
村上春樹さんの小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の土年』の
ジャケットデザイン、モーリス・ルイス"Pillar of Fire"(1961)を彷彿とさせます。
机上の小さなスピーカーで朝と夜に静かに聴いています。
アルバム制作にあたり、坂本さんのメッセージ。
2021年3月初旬、
大きな手術をして長い入院の末、新しい仮住まいの家に「帰って」きた。
少し体が回復してきた3月末のこと、ふとシンセサイザーに手を触れてみた。
何を作ろうなどという意識はなく、ただ「音」を浴びたかった。
それによって体と心のダメージが少し癒される気がしたのだ。
それまでは音を出すどころか音楽を聴く体力もなかったが、
その日以降、折々に、何とはなしにシンセサイザーやピアノの鍵盤に触れ、
日記を書くようにスケッチを録音していった。
そこから気に入った12スケッチを選びアルバムとしてみた。
何も施さず、あえて生のまま提示してみる。
今後も体力が尽きるまで、このような「日記」を続けていくだろう。
坂本龍一

