2024年10月13日日曜日

 [積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十二年 456—465


459 善か悪か風呂吹を喰つて合点せよ


460 何の故に恐縮したる海鼠哉





456 立ん坊の地団太を踏む寒かな


457 べんべらを一枚着たる寒さかな


458 寄り添へば冷たき瀬戸の火鉢かな


459 善か悪か風呂吹を喰つて合点せよ


460 何の故に恐縮したる海鼠哉


461 老聃(ろうたん)のうとき耳ほる火燵かな


462 夫子貧に梅花書屋の粥薄し


463 手を入るる水餅白し納屋の梅


464 あるほどの梅に名なきはなかり鳬


465 相伝の金創膏や梅の花




立ん坊:車の後押しをして稼ぐ人。


べんべら:安もの、あるいは着古しの衣の着物。


老聃(ろうたん):道家の租の老子。


梅花書屋:梅がそばにある書斎。


462から502まで句稿(その三十三)にある句。

この句稿は「梅花百五句」の前書がある。