[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十二年 456—465
459 善か悪か風呂吹を喰つて合点せよ
460 何の故に恐縮したる海鼠哉
456 立ん坊の地団太を踏む寒かな
457 べんべらを一枚着たる寒さかな
458 寄り添へば冷たき瀬戸の火鉢かな
459 善か悪か風呂吹を喰つて合点せよ
460 何の故に恐縮したる海鼠哉
461 老聃(ろうたん)のうとき耳ほる火燵かな
462 夫子貧に梅花書屋の粥薄し
463 手を入るる水餅白し納屋の梅
464 あるほどの梅に名なきはなかり鳬
465 相伝の金創膏や梅の花
立ん坊:車の後押しをして稼ぐ人。
べんべら:安もの、あるいは着古しの衣の着物。
老聃(ろうたん):道家の租の老子。
梅花書屋:梅がそばにある書斎。
462から502まで句稿(その三十三)にある句。
この句稿は「梅花百五句」の前書がある。
