2024年10月25日金曜日

[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十二年 476—485


484 墨の香や奈良の都の古梅園

 




  [積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十二年 476—485


476 駒犬の怒つてゐるや梅の花


477 封切れば月ヶ瀬の梅二三片


478 ものいはず童子遠くの梅を指す


479 寒徹骨(かんてつこつ)梅を娶ると夢みけり


480 黄昏の梅に立ちけり絵師の妻


481 瑠璃色の空を控へて岡の梅


482 梅の花琴を抱いてあちこちす


483 さらさらと衣を鳴らして梅見哉


484 墨の香や奈良の都の古梅園


485 灯もつけず雨戸も引かず梅の花


477 月が瀬—奈良県の梅の名所。

479 寒徹骨—寒さが骨までつきとおること。

484 古梅園—奈良の墨の老舗。そこで作られる墨の名でもある。


※大脇注、スティック・タイプの固形の墨。会社は現在も営業。