252 累々と徳孤ならずの蜜柑哉
明治二十九年
245 初冬や向上の一路まだ開かず
246 凩や海に夕日を吹き落す
247 謡ふべきほどは時雨つ羅生門
248 水仙や主人唐めく秦の姓
249 夕陽逐(お)ふ乗合馬車の寒かな
250 貧にして住持去るなり石蕗(つわ)の花
251 しぐれ候ほどに宿につきて候
252 累々と徳孤ならずの蜜柑哉
253 日あたりや熟柿(じゅくし)の如き心地あり
254 紡績の笛が鳴るなり冬の雨
246~257まで句稿(その二十一)にある句。
住持—住職。
徳孤ならず—『論語』の「徳は孤ならず必ず隣有り」。
