2019年12月19日木曜日

[積読立読斜読] 『教育格差 ― 階層・地域・学歴』(松岡亮二著、ちくま新書、2019)

ノートを取りながら読書中です。P11~P28の「はじめに」のまとめ。

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P11
はじめに(私が『教育格差』という本を書いた理由)


・教育は自分の経験に基づいて自説を持ちやすい分野

・日本の教育格差の全体像を俯瞰し、実態理解に基づいた建設的な議論がされるようになることを願っている

・人には無限の可能性がある。私はそう信じているし、一人ひとりが限りある時間の中で、どんな「生まれ」であってもあらゆる選択肢を現実的に検討できる機会があればよいと思う。

・しかし現実の日本では、出身家庭と地域という本人にはどうしようもない初期条件(生まれ)によって教育機会の格差があるからだ。

・この機会の多寡は最終学歴に繋がり、それは収入・職業・健康など様々な格差の基盤となる。つまり、20代前半でほぼ確定する学歴で、その後の人生が大きく制約される現実が日本にはあるのだ。

・これは近年だけの話ではない。戦後日本社会には、程度の差こそあれ、いつだって「生まれ」による最終学歴の格差――教育格差があった。

・日本の現実は、生まれ育った家庭と地域によって何者にでもなれる可能性が制限されている「緩やかな身分社会」

・それは、一人ひとりの無限の可能性という資源を活かさない燃費の悪い非効率的な社会

・教育機会格差が存在する社会状況に根本的な変化を求める大きなうねりは発生しないまま、昨日のコピーのような今日が過ぎ去る

・教育社会学の研究者である私にできることは、入手可能な質の高い様々な調査データを理論と先行研究に基づいて分析し論文にすること。

・本書のような一般的な新書とすることで、過大評価も過小評価もせずに現時点でわかっている教育格差の全体像を一人でも多くのみなさんと共有し、既視感だらけの教育論議を次の段階に引き上げることを目指す。


P17
本書の構成

第1章 終わらない教育格差
戦後、教育格差は常に存在してきた。

第2章 幼児教育―目に見えにくい格差のはじまり
未就学段階で教育格差は立ち上がっている。

第3章 小学校―不十分な格差縮小機能
第4章 中学校―「選抜」前夜の教育格差
義務教育であっても出身階層と学校・地域によって機会と結果に大きな格差がある。

第5章 高校―間接的に「生まれ」で隔離する制度
高等学校では学校間格差が大きい、「生まれ」と学力に強い関連があるまま高校受験という教育選抜を行うので、結果的に学校間で大きな出身階層格差が生じる。進学校は「勉強できる」と同時に「恵まれた家庭で育った」生徒の集まりなのだ。

第6章 凡庸な教育格差社会―国際比較で浮かび上がる日本の特徴
他国と比較しながら日本の教育制度の特徴を俯瞰する。日本の義務教育制度は格差を縮小するほどの力はない。

第7章 わたしたちはどのような社会を生きたいのか
教育格差に対する対策を考える際に、土台とすべき観点をまとめ、2つの具体案を提示する。

P24
親の学歴が子学歴に与える因果的影響を立証することはできないが、親子学歴に関連があるという実態(what)を示し、様々な理論や研究を援用しながら、なぜ(why)/どのようにして(how)関連が生じたのか―学歴再生産メカニズムを
開明する「試み」をすることはできる。

P25
20年後に「前の世代と同じく教育格差が存在した」と「答え合わせ」するのを待つのではなく、現在の教育実践・政策の参考になるように短期的な格差とその生成メカニズムを明らかにする必要がある。

P26
最後に、私の研究動機を明確にしておきたい。一言でまとめると、「改善のための冷静な現状把握」である。

P28
わたしはこの現状を変えたい。一人でも多くのみなさんと研究知見を共有することを通して、緩やかな身分社会の再生産という「現実」を、一人ひとりが可能性を追求できる社会へと変えることができればと切に思う。