2019年12月2日月曜日

[積読立読斜読] 『ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短編29』(ジェイ・ルービン選、村上春樹序文、2019年新潮社)より 森鴎外「興津弥五右衛門の遺書」


スミマセン、小説好きなもので。

この本はちょっと一風変わった経緯の短編集です。村上春樹さんの英語版訳者として著名な米ハーバード大名誉教授ジェイ・ルービン氏(1941年生)がイギリスのペンギン・グループからの依頼で、日本の短編小説をペンギンブックスとして出版されたものです。イギリス版は当然英訳されたものですが、この新潮社版はオリジナルの日本語の短編集です(まあ当然ですが)。ルービン氏の取捨選択の基準はあまり明らかにされておりませんが、巻頭で村上春樹さんによる解説がつけられています。

新潮社版はペンギンブックスをすぐに想像させる品のあるオレンジ色の装幀。本国のイギリス版は田園を走るディーゼル機関車(おそらく福島県を想定しているものと思われます)。短編小説を通じて英語圏の人がどう日本を理解しているのか興味があるところです。

例によって超スローリーディング。短編一編ずつ投稿していきます。なんとか年内読了目標。

今回は森鴎外の「興津弥五右衛門の遺書」を読みました。三島由紀夫の「憂国」が同じカテゴリーで「忠実なる戦士 Loyal Warriors」として採用されています。いずれも殉死(切腹)を扱ったものです。なかなか外国の方には理解されにくい日本の武人の習慣ですが、現代日本人にももう理解できないところかも知れません。

「興津弥五右衛門の遺書」は1912年の乃木将軍夫妻の殉死に衝撃を受けて書いた歴史小説です。漢字の多い候文になってます。

三島の「憂国」は二・二六事件の外伝的な作品で1961年の発表。現代文です。この2作品を英訳した場合にどう差異をつけるのかが興味深いところではあります。