2023年6月3日土曜日

[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内稔典編) 9

 



[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内稔典編) 9


 明治二十八年


95 冬籠り黄表紙あるは赤表紙


96 東西南北より吹雪哉


97 雪の日や火燵をすべる土佐日記


98 埋火や南京茶碗塩煎餅


99 冬籠米搗く音の幽かなり


100 親展の状燃え上る火鉢哉


101 黙然と火鉢の灰をならしけり


102 なき母の湯婆(たんぽ)やめさせ十二年


103 口切や南天の実の赤き頃


104 吾妹子を客に口切る夕哉


105 到来の亥の子を見れば黄な粉なり


106 湖は氷の上の焚火哉




95   黄表紙・赤 表紙 ─ 江戸時代 の 絵入り の 読物。 草双紙。


97   108 まで 句稿( その 九) に ある。 句稿 には「 今度 のは なくし ては いや で あり ます。 悪 句 には △ か □ の 符号 を つけ 玉 え」 と 記す。


102   湯婆 ─ 湯たんぽ。


103   口 切 ─ 茶 の 口 を 切り 新茶 で する 茶会。 陰暦 十月 はじめ の 行事。


105   亥 の 子 ─ 亥 の 子餅。 陰暦 十月 はじめ の 亥 の 日 に 子孫 繁栄 を 祝っ て 食べる。