[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内稔典編) 9
明治二十八年
95 冬籠り黄表紙あるは赤表紙
96 東西南北より吹雪哉
97 雪の日や火燵をすべる土佐日記
98 埋火や南京茶碗塩煎餅
99 冬籠米搗く音の幽かなり
100 親展の状燃え上る火鉢哉
101 黙然と火鉢の灰をならしけり
102 なき母の湯婆(たんぽ)やめさせ十二年
103 口切や南天の実の赤き頃
104 吾妹子を客に口切る夕哉
105 到来の亥の子を見れば黄な粉なり
106 湖は氷の上の焚火哉
95 黄表紙・赤 表紙 ─ 江戸時代 の 絵入り の 読物。 草双紙。
97 108 まで 句稿( その 九) に ある。 句稿 には「 今度 のは なくし ては いや で あり ます。 悪 句 には △ か □ の 符号 を つけ 玉 え」 と 記す。
102 湯婆 ─ 湯たんぽ。
103 口 切 ─ 茶 の 口 を 切り 新茶 で する 茶会。 陰暦 十月 はじめ の 行事。
105 亥 の 子 ─ 亥 の 子餅。 陰暦 十月 はじめ の 亥 の 日 に 子孫 繁栄 を 祝っ て 食べる。
