高校時代に聴いていた音楽をレコードで聴きなおすという無謀な企画。今回はあがた森魚さんの『噫無情(レ・ミゼラブル)』(あがた森魚、1974年)。「赤色エレジー」のスマッシュ・ヒットで名前だけは著名でしたが高校時代はアルバムは未購入。
『噫無情(レ・ミゼラブル)』(あがた森魚、1974年)は、はっぴいえんど後の松本隆プロデュースによるあがた森魚のメジャー第二段。
松本隆が追い求めている高度成長前の日本「風街」(都市に闇の部分が混在していた)と、あがた森魚の懐古趣味がうまく合った傑作です。「キネマ」をテーマにしたコンセプト・アルバムのように見えますが強いしばりはないようです。
バックは「はっぴいえんど」と「はちみつぱい」人脈が結集。あがた森魚の人間的魅力からかも知れません。
あがた森魚さんを知っている人も少なくなったようですので、若干説明を。
<あがた森魚とベルウッド・レコードについて>
キングレコード系のレコード会社。1972年発足。フォークソング・ブームの中、独立のレーベルとしてキングレコードからスピンオフ。名前は設立に尽力した同社内の重役・鈴木さん(ベル・ウッド)の適当な英訳から。あがた森魚は同レーベルのプロデューサー三浦光紀にスカウトされてメジャーデビュー。2012年創立40周年で40タイトルを再発行。もちろん本作品『噫無情(レ・ミゼラブル)』も入っています。
<『噫無情(レ・ミゼラブル)』(あがた森魚、1974年)>
原題は明治時代に『レ・ミゼラブル』を翻案した黒岩涙香の邦題。印象的なセルロイド人形を描いたかのようなジャケット・はグラフィック・デザイナーの羽良多平吉。
カバー曲は、「モンテカルロ珈琲店」と改題された1928年のドイツ製コンチネンタル・タンゴの曲を原曲とする「小さな喫茶店」、これまた1925年の米国のオペレッタが原曲の「蒲田行進曲」、1933年の「上海リル」。相当古い曲ばかり。他にはっぴいえんどの「はいからはくち」もカバーしてます。
シングルチャートを賑わすような歌い手ではないので、アルバムの一曲だけ取り出してもあまり意味がなくて、最初から最後まで聴き通す必要があるかと思います。
意外にヴォーカルが上手で、バックの演奏も超一流です。もともと選曲が古い曲が多いので、いつまでたっても古びた感じがしません。
<Les Miserable / Marionette Agata (1974 ベルウッド)>
収録曲
A1 蒲田行進曲 2:19
A2 永遠のマドンナK 4:37
A3 キネマ館に雨が降る 4:06
A4 組曲「噫無情」嘆きの舞姫~イカリの水夫 5:24
A5 星のふる郷 5:47
B1 元祖ラジヲ焼 2:54
B2 上海リル 1:39
B3 はいからはくち 1:16
B4 モンテカルロ珈琲店(小さな喫茶店) 1:54
B5 月曜日のK 2:50
B6 最后のダンスステップ(昭和柔侠伝の唄) 3:10
B7 大寒町 4:32
B8 テレビヂョン 3:17
<あがた森魚プロフィール>
1948年9月12日生まれ。北海道留萌市出身。フォーク系のシンガー・ソングライター。1970年に自主制作で『蓄音盤』を発表。1972年の「赤色エレジー」のヒット以後、ノスタルジックな雰囲気に包まれた『乙女の儚夢(ろまん)』や映画をコンセプトにした『噫無情(レ・ミゼラブル)』など独自の世界観を持つ作品を発表する。1980年代初めにはテクノ・ポップ・バンド、ヴァージンVSを結成。ソロに戻った1985年には大作『永遠の遠国』を発表。1989年に雷蔵を結成。ワールド・ミュージックに触発された『雷蔵参上』を1991年に発表、以後もタンゴの連作、21 世紀になってからの『佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど』『俺の知らない内田裕也は俺の知ってる宇宙の夕焼け』など、精力的に活動している。
2012/08/30 (2019/05/22更新) (CDジャーナル)
https://tower.jp/artist/281094
タワーレコードのサイトより


