2022年8月30日火曜日

[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(73)

 





櫻餅うき世にみれんあればかな


尋めゆけどゆけどせんなし五月闇




「さるほどに」の前書きの697、一人息子の「耕一、百ケ日」の前書きのある702が印象に残りました。



697 櫻餅うき世にみれんあればかな


698 春雨や枯らすに惜しきいのちの根


699 蹴る鞠のそれてかげろふゆくへかな


700 椿落つ妬心の闇のふかき底


701 目になみだうかめし春の佛かな


702 尋(と)めゆけどゆけどせんなし五月闇


703 新盆(にいぼん)やひとかに草のやどす露


704 風きよし切子の房をふきみだし


705 夜あがりの空たのめなき切子かな


706 身の闇や盆提灯のきえしとき



五月闇:五月闇(さつきやみ)

仲夏

【子季語】


梅雨闇、夏闇


【解説】

梅雨時のころの鬱蒼とした暗さをいう。昼間の厚い雲に覆われた暗さでもあるが、月のない闇夜のことでもある。



尋む


と・む 【尋む・求む・覓む】

他動詞マ行下二段活用

活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}

さがしもとめる。たずねる。

出典新古今集 春上

「とめ来(こ)かし梅盛りなるわが宿を」

[訳] たずねて来てほしい、梅の花が盛りの私の家を。