2022年6月17日金曜日

[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(64)

 [積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(64)



流寓抄 その十


615 雁の音をよそにうたへる機嫌かな


616 わが唄はわがひとりごと露の秋


617 わすれめや柿まろかりし双の頬


618 名月やいまは亡き人吉右衛門


619 名月のけふ初七日のほとけかな


620 門川に障子あらへり訊かむ


621 名月へ色うつりゆく芒かな


622 知らぬ犬ははしりより來て秋の暮


623 秋風や負けてもけなげ名寄岩


624 この道はたゞ勝てばよき秋の風


名寄岩は北海道名寄市出身の力士。昭和10年代立浪部屋の「立浪三羽烏」の一人。あとの二人は双葉山・羽黒山。