[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(64)
流寓抄 その十
615 雁の音をよそにうたへる機嫌かな
616 わが唄はわがひとりごと露の秋
617 わすれめや柿まろかりし双の頬
618 名月やいまは亡き人吉右衛門
619 名月のけふ初七日のほとけかな
620 門川に障子あらへり訊かむ
621 名月へ色うつりゆく芒かな
622 知らぬ犬ははしりより來て秋の暮
623 秋風や負けてもけなげ名寄岩
624 この道はたゞ勝てばよき秋の風
名寄岩は北海道名寄市出身の力士。昭和10年代立浪部屋の「立浪三羽烏」の一人。あとの二人は双葉山・羽黒山。

