2023年5月27日土曜日

[積読立読斜読] 『コンテナから読む世界経済』(松田琢磨著、KADOKAWA刊、2023年)


 ビジネス本の名著『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった』(マルク・レビンソン著)を補足する目的で購入。

著者は海運経済学・物流の専門家。日本では数少ない「コンテナ経済」を解説できる学者のようです。


日常生活に溶け込んで意識はしていいないものの重要な役割を、著者は「水と空気とコンテナ輸送」という表現で解説。

表紙には同じような表現で「経済の血液はこの「箱」が運んでいる!」とあります。


コンテナが経済の血液なら、その血液検査をすることで経済指標の先行数値として使えるということで、「コンテナ輸送量とGDP、マクロ経済指標」「コンテナ輸送量と景気」「コンテナ輸送量と為替レート、消費動向」の解説を設けて「先行指標」の解説をされています。






かつての輸出大国としての日本は、その経済的な優位の劣化が激しく、p63にある世界の主要港のコンテナ取扱数量をみても、46位にかろうじて東京が入るくらいで、

上位は広大な海岸線を持つ中国その他の国が独占しています。


日本の海運会社が会社の垣根を超えて設立したコンテナ会社ONE(シンガポールベース)のような希望を抱かせてくれる例もありますが、長期的には「コンテナに積む商品を製造輸出する経済」からの脱却が必要なことが理解できます。


コンテナ経済の入門書であり、総華的な印象で読み物としては面白くありませんが、よくまとめられていると思います。『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった』(マルク・レビンソン著)は物語としても面白くお勧めです。



添付写真は広島県の海田のターミナルと、世界3位の中国のシンセンの塩田港(の一部)です。問題にならない。


広島県海田町

広島港国際コンテナターミナル



中国シンセン 塩田国際コンテナターミナル




<著者プロフィール>

●松田 琢磨:1973年生まれ。拓殖大学商学部教授。筑波大学第三学群社会工学類卒業、東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)(東京工業大学)。(公財)日本海事センター主任研究員を経て、2020年4月現職。専門分野は海運経済学、物流(国際・国内)。コンテナ輸送、市場と業界の動向、国内雑貨輸送に関して調査・研究を進めている。



<内容紹介>出版社のサイトより

この箱は何を入れ、どこに向かい、どのような影響を世界に与えるのか

世界経済の血液とも言われる海運物流のカギを握るのはこの「箱」である。また、「コンテナの動き」を追えば、世界経済の流れもつかめる。経済を動かし、生活・ビジネスを支えるコンテナに迫る。


【目次】

はじめに――「経済の血液」としてのコンテナ

序 章 身近なものの動きから眺めるコンテナ輸送

第1章 「コンテナの動き」で、なぜ世界経済が読めるのか

第2章 経済の血液としての「箱」を理解しよう

第3章 海運物流・コンテナ輸送はどう発展していったのか

第4章 いま世界で起きている海運問題と、経済活動への影響

第5章 「海運の動向」から読み解くこれからのビジネス・経営

第6章 今後、「コンテナ船」はどこに向かうのか

おわりに――水、空気、コンテナ輸送