今日よりは誰に見立ん秋の月
明治二十四年
12 人生を廿五年に縮めけり
13 君逝きて浮世に花はなかりけり
14 仮位牌焚く線香に黒むまで
15 こうろげの飛ぶや木魚の声の下
16 通夜僧の経の絶間やきりぎりす
17 骸骨やこれも美人のなれの果て
18 何事ぞ手向けし花に狂う蝶
19 鏡台の主の行衛や塵埃
20 ますら男に染模様あるかたみかな
21 聖人の生れ代わりか桐の花
22 今日よりは誰に見立ん秋の月
明治二十五年
23 鳴くならば満月になけほととぎす
24 病む人の巨燵離れて雪見かな
22までは25歳で早世した兄の妻・登世を悼む句。
23、24は子規宛の書簡。23は試験に落第した子規に大学を辞さず「卒業するが上分別と存候」。
