今回は代表曲「風をあつめて」の作詞面からのアプローチです。(細野さんの作詞ではありませんが)。
1971年11月20日発売のはっぴいえんど2作目のスタジオ録音アルバム中の一曲で作詞は松本隆さんです。
アルバム自体が松本隆さんによるオリンピック前の東京の原風景を「風街」と幻想的に捉えたコンセプトアルバムと思います。70年代の宮沢賢治と言えるかもしれません。
オリジナルの歌詞は曲だけ聴いているとわかりませんが、やたらと難しい漢字が多く、幻想的・童話的な雰囲気です。
16ビートでの絶叫ばかりがロックではないと、細野晴臣さんが低音のボーカルで表現したのがこの曲です。結構長い年月を経て世界中のスタンダードナンバーとなりました。
「風をあつめて」
街のはずれの
背のびした路次を 散歩してたら
汚点(しみ)だらけの 靄(もや)ごしに
起きぬけの露面電車が
海を渡るのが 見えたんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を
とても素敵な
昧爽(あさあけ)どきを 通り抜けてたら
伽籃とした 防波堤ごしに
緋色(ひいろ)の帆を掲げた都市が
碇泊してるのが 見えたんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を
人気のない
朝の珈琲屋で 暇をつぶしてたら
ひび割れた 玻璃(がらす)ごしに
摩天楼の衣擦れが
舗道をひたすのを見たんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を
オリジナルの歌詞は「路面電車」ではなく「露面電車」となっています。
他にも仏教用語の「玻璃(はり)」=七宝のひとつで水晶のこと。昧爽(まいそう)を「あさあけ」と読むなど。
今日的見地からみれば田舎の文学好きな女子高校生のようでもあります。「摩天楼」も松本さんの好きな単語ですね。
アルバム発表当時、細野晴臣さんが24歳、松本隆さんが22歳だったことを思うと、その曲の完成度の高さに嘆息します。
